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糖尿病腎症

15-2 内分泌・代謝科|教授 古家大祐(こや・だいすけ)

1.糖尿病腎症とは

糖尿病腎症は、糖尿病と診断されてから10-20年経過しますと約30%の患者さんに発症する慢性かつ進行性の腎臓病です。糖尿病腎症の特徴は、 アルブミンと呼ばれる蛋白質の尿中への排泄の増加、血圧の上昇と腎機能の低下です。図に示しますように、糖尿病とご指摘を受けられてから徐々に進行し、健 常のヒトよりも尿中のアルブミン排泄量が増える早期腎症期、ついで蛋白尿がみられる顕性腎症期、そして20-30年後には腎不全が発症します。末期腎不全 になると病状は深刻となり、全身倦怠や時として意識障害が生じることもあり、透析療法や腎移植が必要となります。また、糖尿病腎症の患者さんは心臓や脳の 血管障害に罹患するリスクが非常に高くなります。

2.糖尿病腎症の徴候と検査

糖尿病腎症を発症してもかなり進行するまで自覚症状はありませんので、糖尿病腎症の診断には、2種類の検査が重要です。第一は尿検査で、この中に は尿アルブミン排泄量の測定と尿蛋白の測定が含まれます。第二は腎機能の検査で、血液中のクレアチニン値の測定です。

1) 微量アルブミン尿

従来、糖尿病腎症は検尿で尿蛋白が持続的に陽性になった時点で診断されていましたが、この病期(顕性腎症期)になると治療が非常に困難です。そこ で、早く糖尿病腎症を診断する方法が検討され、尿蛋白が持続的に陽性(「持続性蛋白尿」あるいは「顕性蛋白尿」と呼びます)になる前に、尿アルブミン排泄 量が増加することが明らかにされました。これを「微量アルブミン尿」と呼び、「微量アルブミン尿」が出現した時点で早期の糖尿病腎症と診断します。この時 期には、血圧値が正常血圧範囲にあっても徐々に上昇してきます。

2) 顕性蛋白尿

通常の試験紙法を用いた尿検査で、尿蛋白が持続的に陽性になった場合を「顕性蛋白尿」と呼びます。この時期には明らかに血圧は上昇して、高血圧症 が起こってきます。特に、1.0g/日以上の蛋白尿が出ている場合は予後が悪く、将来腎機能が低下するリスクが高くなります。また、3.5g/日以上の蛋 白尿が出ているときには、浮腫(むくみ)が出てきます。

3) 腎機能検査

腎機能検査では血液中の尿素窒素(BUN)、クレアチニン、およびナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)の濃度を測定します。血 清クレアチニン濃度が1.5mg/dlを超えるとかなり腎機能が低下しており、2.0mg/dlを超えると腎不全状態です。尚、透析療法を受けなければな らない血清クレアチニン値は8.0mg/dlです。その他、血清尿素窒素も腎機能が低下すると上昇してきます。

4) 貧血の検査

エリスロポエチンという造血ホルモンが主に腎臓で作られているために、腎機能が低下するとその産生低下を生じ貧血になります。

3.糖尿病腎症の治療

糖尿病腎症の治療は、(1) 厳格な血糖コントロール(HbA1c6.5%未満)、(2) 厳格な血圧コントロール(1日6g/日未満の塩分制限、体重の減量、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬の内服により 130/80mmHg未満)、(3) その他(脂質異常の治療、過剰な蛋白摂取の制限、禁煙)です。特に、上述した治療により血糖値や血圧値が達成できますと、早期の糖尿病腎症であれば進行す るよりもよくなることが多く、末期腎不全となって透析療法に入ったり腎移植を受けたりする必要がなくなります。もちろん、糖尿病といわれたら、自己管理と 定期的な受診によって、血糖を厳格にコントロールして糖尿病腎症を発症しないことが最も重要です。

自分は糖尿病といわれているけど、糖尿病腎症に関して何も聞いたこともない、また、糖尿病腎症といわれているけど適切な治療を受けているのか、な ど疑問をお持ちの患者様は、一度、内分泌代謝科を受診され、われわれにご相談頂ければ幸いです。

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