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血液透析療法

14-3 腎・泌尿器科(腎臓内科)|教授 横山仁

1.腎臓の働きとは

腎臓の大きな働きとして、(1) 電解質(塩分、カリウム、カルシウムやリン)の調節、(2) 体液量の調整、(3) 蛋白などの代謝産物(老廃物)の排泄、(4) ビタミンDの活性化や造血ホルモン産生(エリスロポイエチン)などの内分泌機能があります。ある程度を超えて腎機能が障害されると不可逆的に進行して慢性 腎不全へと移行します。このように腎臓の働きが低下して腎不全に陥ると、腎臓本来の機能である体の恒常性を維持できなくなります。これにより体のさまざま な臓器にまで悪影響が及び、やがて尿毒症と呼ばれる重篤な症状が生じます。

2.腎不全の治療には何がありますか?

失われた腎機能を取り戻すには腎移植が最も理想的な方法です。篤志の献腎(死体腎)あるいは血縁・夫婦間の生体腎移植が本院でも行われています が、総ての方がすぐに受けられないのが現状です。そこで、一時的又は半永久的に腎臓の機能の一部を補助・代行する治療の一つとして用いられているのが血液 透析療法です。

3.血液透析とはどのような治療でしょうか?

一般的に、血液透析へ導入となると局所麻酔手術により動脈と静脈とを吻合した「シャント」と呼ばれる血管を腕に作ります。


シャントの模式図:一般に局所麻酔による手術により動脈と静脈をつなぎます。

この血管(静脈)から血液を毎分約200mlで体外に循環させ、「透析器(ダイアライザー)」を通して血液中に蓄積した尿素窒素などの成分を除去 することで血液をキレイにし、体内に再び戻すというものです。この治療は、一般に週3回、毎回3~4時間程度行います。

ところで「透析器」とは、わかりやすく書けば側面に穴の開いたストローを何万本もあわせ筒に入れた様な物です。その筒の中で血液と「透析液」がス トローの内と外を介して必要な成分は血液側へ、不必要な成分は透析液側へ移動するような仕組みになっています。

4.血液透析だけで腎臓の代わりになるのでしょうか?

血液透析により体の中の老廃物は効率よく除去することができますが、腎臓のホルモン(内分泌)機能は「透析器」だけでは補うことが出来ません。そ こで必要な薬剤を併用することになります。具体的には、貧血の改善にはエリスロポイエチンが、ビタミンDの働きの低下に対しては腎臓で作られる部分を補っ た活性化ビタミンD3製剤を経口薬や注射薬として用います。さらに、透析療法をよりスムーズに行ううえで体重の管理や食事から入ってくるリンなどのコント ロールが必要になります。この基本は、塩分やタンパク質の摂取を理解した食事療法です。栄養士や看護師から説明を受けてもらうことになります。それでも過 剰になるリンを食物から吸着するために塩酸セベラマーや炭酸カルシウムが使用されます。

5.十分に血液透析を行って合併症を予防しよう!!

現在、金沢医科大学病院で32年を超えて血液透析を受けておられる方でいらっしゃいます。このような長期の透析療法で問題になって来るのが、骨 (透析による骨異栄養症、骨粗鬆症)や血管(動脈硬化、石灰化)の合併症です。これは本来、腎臓で調節されるカルシウムが低下したり、リンが蓄積すると副 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになります。これによって骨の合併症が進んでしまいます。さらに異所性石灰化といって関節や皮下に石灰が蓄積するこ ともあります。また、透析アミロイド症と呼ばれる合併症も認められます。これは、ベータ2ミクログロブリンというタンパクが手根管や関節などに蓄積して、 手のしびれや骨関節の障害を生じるものです。これらに対しては、十分な透析療法がその予防につながります。

このように腎臓が悪くなっても、適切な食事療法と十分な血液透析、そして必要な薬物療法を行うことで、合併症のより少ない長期に安定した腎不全治 療が可能となっています。血液透析療法は、病院新館5階の血液浄化センターで行われます。

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