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腎臓移植

46-1 腎・泌尿器科|教授 田中達朗

/准教授 森山 学

1.腎臓移植とは?

腎臓移植とは、末期腎不全の治療の1つで、病気により失った腎臓の機能を提供された健康な腎臓で補う治療法です。現在では、末期腎臓病(腎不全) の唯一の根治的治療法であるともいえます。腎臓移植後には、ほとんど正常に近い腎機能を得ることができます。しかも他の末期腎不全の治療法である血液透析 や腹膜透析では修復できない老廃物の調節やホルモン分泌など、すべての腎臓機能の補修が可能です。そのため食事の制限、生活の制限、精神的苦痛などのあら ゆる面で開放され、女性では妊娠・出産も可能となり、お子さんではほぼ正常に近い発育が期待できます。ただし提供された腎臓と長くつきあうためには、生涯 にわたる免疫抑制剤の服用が必要となります。

2.腎不全とは?

腎不全とは、腎臓の働きが落ちて体にたまる不要な物質を十分に排泄できない状態をいいます。腎臓の主な働きは老廃物の排泄、水分の調節、電解質の バランス調節、ホルモン分泌などです。ある程度末期になるまでむくみ、高血圧、血尿以外は無症状に経過し、ある日突然尿毒症の症状に見舞われることも少な くありません。尿毒症は体外に排泄できなかった老廃物が影響して、頭痛、意識障害を初め、むくみ、呼吸困難、貧血、嘔吐、出血、痒みなどの症状が、体のい たる所に発現します。

3.生体腎移植と献腎(死体)腎移植とは?

腎臓移植は、提供がなければ行うことができない医療です。腎臓の提供には、健康な近親者の2つある腎臓の1つを提供していただく「生体腎移植」 と、心臓停止による死後あるいは脳死が確認された方から2つの腎臓を2人の患者さまに提供していただく「献腎移植」があります。

生体腎移植は血縁者間、たとえば親子、兄弟(姉妹)、祖父(母)から孫への提供が多く行われています。最近では夫婦、従兄弟間での腎臓の提供も可 能です。我が国では友人知人からの提供はあまり行われておりません。

献腎移植の場合は死後、善意により提供された2つの腎臓が厚生労働省の厚生科学審議会の臓器移植委員会で決められた基準に基づいて、腎臓移植を受 ける患者さまが決定されます。

4.腎臓移植ってどんな手術?

腎臓移植の手術は、提供された腎臓を本来の位置とは異なる下腹部の右ないし左の位置に移植します。下腹部は、尿を排泄するための膀胱に近くまた腎 臓を収納するスペースや体の表面からも近いこと、将来的に管理がしやすいという点から選択されています。もとの腎臓は、一般的には摘出することなくそのま まにします。

5.腎移植の現状

日本では約20万人以上の患者さまが、腎不全のため透析治療を受けています。その数は毎年1万人のペースで増加し、これらの方々は透析治療のため 仕事上・生活上の制約を受け、小児では成長発育に支障を来し、女性では妊娠・出産が困難なため子供を作れないなど、さまざまな合併症で苦しんでおられる患 者さまも少なくありません。残念ながらこのうち毎年700人前後の患者さましか腎臓移植を受けられないのが現状です。そのうち約20%が献腎移植で、残る 80%は健康な方から善意で提供していただく生体腎移植です。腎臓移植を希望される患者さまの数と実際に提供される腎臓の差は年々開いています。

6.費用は?

腎臓移植手術および移植のための腎摘出術は健康保険で認められています。更正医療、心身障害者医療費助成制度、また小児では育成医療、小児慢性疾 患を申請すれば、自己負担もカバーされます。腎臓提供にかかるすべての医療費は、腎臓移植を受ける患者さまの医療費として請求されるため、提供者はもちろ ん移植を受ける患者さまにはほとんど費用の負担はありません。

その他、腎臓移植、臓器提供、意思表示カードなどについて不明な点がございましたらお気軽に院内移植コーディネーターあるいは腎・泌尿器科までご 相談ください。

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