腎・尿管結石
46-2 泌尿器科|教授 鈴木孝治
1.腎・尿管結石とは
腎臓は、血液を濾過しナトリウム、カリウムなど体内の電解質を調節するほかに、血圧調整や増血ホルモン産生、ビタミンD活性化など重要な役割を 持っています。また、尿素、クレアチニンなどの最終代謝産物を尿中に排泄することも、よく知られております。尿中にはカルシウム、蓚酸、尿酸、燐酸など、 尿路結石に関連する多くの物質も排泄されています。この結石関連物質が種々の条件下で結晶化し増大したものが、尿路結石です。
尿管結石は腎結石が下降したもので、よく激烈な痛み(疝痛)を引き起こし急性腹症の一つとして知られています。10人中1人が一生のうちに1回は 罹患するとされています。男女比は2.5:1で男性に圧倒的に多く、40歳、50歳代に多く発生します。また、約半数の人が再発します。
2.症状
腎結石のほとんどは痛みがなく、あっても鈍痛程度です。肉眼的に確認できる血尿や検診で判明する程度の顕微鏡的血尿の場合もあります。尿管結石は 側腹部の激痛(疝痛)のほか陰部、大腿内側への放散する痛みを出します。尿管結石が膀胱近接部まで落下した場合は、急性膀胱炎と同様な排尿終末時痛や血 尿、頻尿を来すことがあります。また、疝痛のあと尿管から膀胱へ落下した結石は、そのほとんどが尿道を通って体外に排出されます。
3.診断
側腹部から下腹部にかけての疝痛、鈍痛、不快感などの自覚症状を認めることや検尿で血尿があります。
腹部レントゲン検査(KUB)でカルシウムを含む結石は容易に診断できますが、シスチンや尿酸結石の場合、レントゲン検査では不明のことが多く超 音波検査やCTスキャンで診断します。このほか血液生化学検査のための採血や24時間尿の検査によって基礎疾患の診断をする必要があります。
4.原因
尿の中のカルシウムや蓚酸が多いと結晶化し、集まって結石を作るようになります。飲料水摂取が少ないために尿が濃くなった場合や蓚酸、カルシウム を多量に含む食品を食べた場合などです。また尿の停滞を来す尿路通過障害や長期臥床も原因となるほか尿を濃縮する状態も結石形成に関係があります。
5.結石の成分
尿路結石の70%以上は蓚酸カルシウムを含んでいます。また、感染が主な原因である燐酸マグネシウムアンモニウムや、尿酸、シスチンは20%を占 めています。
6.治療法
1) 腎結石:
小結石(5mm以下)の場合、水分を多量に摂取し自然排石を期待します。痛みがひどい場合や腎機能が傷害される場合、大結石の場合は、下記の新し い治療法を選択します。
2) 尿管結石:
小結石では利尿をつけ自然排石を待ちますが、排石までに疝痛発作が繰り返す時や水腎症、腎盂腎炎が増悪する時は積極的に治療する方がよいでしょ う。
3) 新しい治療法:
(1) PNL:経皮的腎結石摘出術
背部に約1cmの瘻孔を腎臓まであけ、ここから内視鏡を挿入し結石を直視しながら鉗子で摘出する方法です。珊瑚状結石など比較的大きな結石の場 合、ESWLの前後で併用することや、尿管狭搾があり破砕片の自然排石が期待できない場合などに実施します。
(2) TUL:経尿道的尿管結石摘出術
尿道から細い内視鏡を尿管内に挿入し、結石を摘出する方法です。
(3) ESWL:体外衝撃波腎結石破砕治療法
この装置は体外で衝撃波を発生させ体内の結石のみに衝撃波を収束させ結石を細かく破砕するものです。ほとんどの結石はこのESWL単独で治療可能 ですが大きい結石の場合はPNLを併用することがあります。また下部尿管結石ではTULを併用した方がよいこともあります。当院ではこれまで5000人以 上の患者さまを治療してきました。
7.再発予防
水分(水、薄いお茶がお勧めです)を1.5リットル以上飲み、常に薄い尿にしておくことが必要です。明らかな原因があれば除去することが重要で す。尿酸結石やシスチン結石の場合は治療法が確立されています。



