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脳脊髄神経機能メンテナンス

17-1 脳脊髄神経科(神経内科)|教授 松井 真

1.はじめに

21世紀は脳の世紀と言われています。神経系統は体全体の機能の管理と調節の役割を果たしています。科学の発展に伴い、末梢神経のみならず、脳・ 脊髄などの中枢神経についても、様々な方法でその機能評価を行ったり、病的な状態をチェックしたりすることができるようになりました。いわば、寝ているだ けで神経に関していろいろなことが分かる検査が増えてきたことになります。

神経内科では、先端の技術に裏打ちされた医療機器を用いて脳・脊髄・神経の病気の原因を追究し、治療後のメンテナンスまで行うよう努めています。

2.先端の診断機器

末梢神経は手足を走っている神経で、比較的簡単に検査ができます。運動神経や感覚神経の伝わり方の速さや波の大きさなどで末梢神経のどの部分の調 子が悪いのか、またその原因まである程度絞り込むことが可能です。

脊髄の働きは、手や足からの刺激がどのような速さで脳まで到達するかをみる感覚誘発電位という方法で調べることができます。逆に、脳に磁気刺激を 与え、その刺激がどのように手足まで到達するかを調べると、運動に関する神経の通り道の状態がある程度分かります。

脳の働きは、旧来の脳波記録によるものの他、SPECTという脳の血流をみる検査で評価をすることができます。また、MRIを使用して特殊な撮影 をすることで、脳卒中のきわめて早期の診断ができるようになりました。さらに、脳脊髄液を安全に採取して調べることにより、採血では分からない免疫の異常 や感染症などを明らかにすることができます。

3.症状と病気の診断

しびれ

「しびれ」は力が入らないことの表現であったり、感じ方が鈍いことや、あるいは正座後のビリビリとした異常知覚であったりします。急性に出現する 「しびれ」は脳卒中の症状である場合があり、拡散強調MRIという方法で迅速に診断することができます。また、筋電図や神経伝導速度検査を行うと、神経細 胞そのものが調子悪いのか(筋萎縮性側索硬化症など)、神経の通り道(神経線維)に問題があるのか(ギラン・バレー症候群などの多発神経障害)、それとも 実は筋肉に病気があるのか(筋ジストロフィーなど)、などが分かります。光や音などの刺激がどのような速さで脳の中を通っていくかを調べる誘発電位という 検査をすると、神経線維のメッキが剥がれて起こる多発性硬化症という病気を見つけだすことができます。その他、パーキンソン病も手足の使いにくさを「しび れ」と感ずる場合がありますが、MIBG心筋シンチグラフィーという最新の方法を利用して、より速く確かな診断を行うことができるようになりました。

頭痛

頭痛は病気と意識されないことが多いのですが、日常生活に支障が出るくらいのひどい頭痛を我慢しているひとが少なくありません。頭痛の中には、慢 性硬膜下血腫や脳腫瘍など手術で治すべき病気が隠れている場合がありますので、頭部CTスキャンやMRIなどを駆使して見つけ出します。片頭痛は12人に 1人が罹っていると推定されている病気ですが、トリプタン製剤が奏功します。神経内科医は様々な「頭痛」を問診と診察および検査で診断し、適切な治療法や 薬を選択します。

もの忘れ

正常範囲の老化現象による物忘れと病気としての惚けは全く異なるものです。ご本人が心配な場合と、ご家族が心配になって連れて来られる場合があり ますが、高次脳機能の検査に加えて、脳血流をSPECTという方法で評価することにより、早期の鑑別が可能になりました。痴呆症状を出す内臓の病気もあり ますので、他の身体症状も考慮しながら採血検査などを併用します。

その他

「めまい/ふらつき」「ものが二重に見える」「呂律がまわらない」「筋力低下/筋肉のやせ」「歩行障害」などでお困りの方は、先ずは神経内科を受 診ください。

4.治療と脳脊髄神経機能のメンテナンス

病気の治療は、原因が突き止められて初めて最も適切な方法を選ぶことができます。当科では、大学病院ならではの専門医による診察を経て、必要不可 欠な検査を組み合わせて原因を追究し、治療法を決定します。治療によりどこがどのように良くなったかをきちんと把握し、脳神経系機能のメンテナンスを行う ことは、神経内科診療における重要な仕事の一つです。

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