ドライアイと涙点閉鎖術
40-1 眼科|教授 北川和子
1.ドライアイ(乾き目)
眼が乾く、ころつく、充血する、などの症状はドライアイの可能性があります。重症の場合は、眼が痛くて開けられなくなり、視力も著しく低下しま す。またふだんはとくに異常はなくても、眼の表面(角膜、結膜)は刺激に弱くなっており、ある種の点眼薬や点眼薬に含まれる防腐剤により眼の表面の傷が誘 発されることもあります。
白内障手術のあとに使用する炎症を抑える点眼薬や緑内障治療用の点眼薬には、角膜に傷を作りやすいものがあり注意が必要です。白内障手術をしたの にかえって視力落ちた、あるいは緑内障で治療中に痛くて眼が開けられなくなったなどの症状でドライアイが判明することもあります。
現在ドライアイの患者さまは日本国内だけでも800万人いるとされ、これからますます増加の一途をたどっていくことが予測されています。診断を確 実につけ、適切な治療を行うことが生活の質(QualityofLife)の向上につながります。
2.ドライアイの原因
ドライアイの原因には、涙の量が不足する場合と蒸発が亢進する場合のふたつがあります。
1) 涙液減少
シェーグレン症候群(涙腺・唾液腺の障害をきたす自己免疫疾患でドライアイ、ドライマウスが発症します。膠原病でもシェーグレン症候群を合併する ことがあります)、シェーグレン症候群以外の涙腺の障害。
2) 涙液蒸発亢進
涙の表面を覆う油層の減少、コンタクトレンズ(特にソフトコンタクトレンズ)、パソコンでの作業(まばたきの減少)、空調の風。
3.ドライアイの検査法
1)
眼科用の顕微鏡(細隙灯顕微鏡)で眼の表面の異常の有無を観察します。
2) 染色試験
特殊な色素を点眼して障害部位を染めその範囲で程度を診断します。色素には黄色、緑色、赤色のものがあります。
3) シルマー試験
目尻に目盛のついた細長いろ紙をはさんで、5分間に湿った長さを測定します。
4)
シェーグレン症候群が疑われるときは全身検査のため内科へご紹介します。
4.ドライアイの治療法
1) 人工涙液
防腐剤の入ったもの、入っていないもの、保湿成分のヒアルロン酸の入ったもの、などさまざまあります。ドライアイの原因、程度により選択します。
2) 自己血清点眼
重症のドライアイに使用します。血液中の成分が眼表面の傷を治すのに効果があることが判明しております。ご本人から採取した血液から作成します。
3) 涙点閉鎖術
涙が鼻に流れ出る出口である涙点を閉鎖する治療法です。涙点はまぶたの縁の内側(鼻側)にあいた小さい点として観察できます(上まぶたと下まぶ た、左右で計4個あります)。涙が貯留することにより眼の表面の傷が著明に改善することが期待できます。現在最も有効な治療法です。
5.涙点閉鎖術
涙点プラグ 長さ1.5mm前後です
涙点閉鎖には、涙点プラグ(栓のようなもの)を涙点に挿入する方法と涙点を焼灼して永久に閉鎖する外科的治療法があります。どちらの方法も保険適 応となっています。入院の必要はなく外来通院で治療できます。
閉鎖術としては涙点プラグ挿入術が一般的ですが、重篤な症状が長期にわたって持続する場合には涙点を焼灼して閉鎖する方法のほうが効果的です。涙点焼灼術はシェーグレン症候群などが基礎疾患にある重症のドライアイの方が対象となります。
涙点閉鎖術を行うべきかどうかの決定、また術後合併症の予防対策をふくめ、いくつかのコツとポイントがあります。
涙点閉鎖術を行っている施設は多くはありません。当科は北陸地方で最も多くの涙点閉鎖術を経験している施設のひとつであり、充分な対応ができると 思います。
※ドライアイでお悩みの方は、是非一度ご相談下さい
※ドライアイ外来・角膜外来:毎週火曜日と水曜日(予約不要)



