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漢方治療

52-5 総合診療科

1.特定機能病院で漢方を導入するきっかけ

一般に大学病院は、特定疾患や先端医療に専念するあまり、それらに当てはまらない症状の患者さまのニーズに応えられないことがあります。また、近 年の日本の経済状況からも、医療に経費をかけすぎるとの批判があり、より有効に治療できないかとの考え方がでてきています。すでに先進諸国では、医学教育 と実際の診療に「漢方を含めた代替医療」をとりいれています。そして、金沢医科大学の総合診療科でも漢方外来を開設しております。

2.西洋医学と東洋医学との融合

西洋医学は、病気の原因を探し出し、臓器障害を治療するものですが、東洋医学は病気が見えなくても、患者さまの自己治癒能力を高めて治療するもの です。すなわち、西洋医学は身体の内側から、東洋医学は身体の外側から治すともいえます。東西の医学の融合により、総合的な治療効果が期待されます。

3.普通薬と漢方薬の使い分け

患者さまの話と診察から、必要な治療が西洋医学によるものか、東洋医学によるものかを判定します。少しでも西洋医学からのアプローチが必要と考え られる場合は、血液、尿、内視鏡、超音波、脳波、X線、CT、MRI等の精密検査を行ないます。精密の結果、異常が特定された場合は、西洋医学による治療 (手術・処置・普通薬)を適用しますが、異常が特定されないとき患者さまの自覚症状が強い場合は、東洋医学による治療(漢方薬等)をおこないます。

4.漢方治療を導入した成果は?

まず、本学病院の他診療科から漢方治療の相談や紹介が増えました。また医療スタッフが漢方治療を受けている場合もあります。効果があった患者さま は大変喜んでおられます。また、ある漢方薬が効かなかった方は他の漢方薬を処方して様子をみています。多い方で5回ほど漢方薬を変えてみると、大抵はその 患者さまに合った処方が見つかります。

5.患者さまの反応は?

例えで恐縮ですが、咽喉頭異常感症という病気があります。「喉に玉のようなものが引っ掛かってとれない、何とかしてほしい」という訴えです。この 患者さまは、はじめ耳鼻咽喉科に行って検査をしましたが、喉にはなにもないので異常はないとのことで帰されています。つぎに、この方は内臓から来ているの ではないかと思い、内科に行って検査をしたがなんともない。そこで漢方外来を受診しましたが、このような症状に有効な漢方薬があり、1週間もしないうちに すっきりしたとの報告がありました。漢方がすべてに当てはまるわけではありませんが、西洋医学で治らない症状の方は、試されて良い方法だと思います。

6.実際の診察は?

漢方治療の診察は、視診(望診)、問診(聞診、問診)、触診(脈診、舌診、腹診)で行ないます。

7.今後の展望

これからは、病気の概念そのものが変わると思います。いままでは、西洋医学で学んだように、体に異常な所がみあたらないと病気とは定義されません でした。

これからは、症状のある方は病気があると認め、医療施設で面倒を見ることが大切と考えられます。最近の厚生省の調査では、自覚症状のある国民は全 人口の3割を占め、65歳以上では5割以上に達しています。この方々がより快適に過ごすためにも、漢方医療を現在の医療体系に入れる必要性があると強く感 じています。

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