在宅人工呼吸療法
13-1 呼吸器科(呼吸器内科)
1.人工呼吸療法が必要な呼吸不全の病態、症状とは?
日本人の高齢化、長寿化により、さまざまな疾患(肺炎、肺癌、喘息など)において、呼吸不全(酸素が足りない状態)を伴うことが多くなってきてい ます。
では、呼吸不全状態とは、どのような状態を指しているのでしょうか?我々が通常に呼吸している状態で酸素が欠乏した状態(具体的には、室内気吸入 時の動脈血酸素分圧が60Torr以下の状態となる呼吸状態)を呼吸不全といいます。このような状態となると、人は呼吸困難感(息苦しい)、動悸、胸がし めつけられる、皮膚の色が悪くなる(チアノーゼ)、身体がひどい(石川県の方言では、テキナイ、チキナイ)などの症状を訴えます。
2.呼吸不全状態や人工呼吸の必要性はどんな検査で診断するか?
呼吸不全を診断するには、通常の診療などでは、パルスオキシメータという器械を使用して簡単にしらべることができます。まず、測定器具のプローブ という部位を指先に挟み、酸素飽和度を測定します。これによりおおまかな血液中の酸素の状態がわかります。96から97%程が正常で、呼吸不全の場合は 90%以下となります。異常があれば、動脈の採血をして血液ガス分析を行います。これにより、低酸素状態、高炭酸ガス血症の状態を診断することができ、酸 素吸入および人工呼吸療法の必要性を診断することが可能です。
3.呼吸不全の人工呼吸療法とは、どのような治療をするか?
呼吸不全の方への人工呼吸療法は、呼吸困難感、高炭酸ガス血症に伴う症状(朝方の頭痛、不眠など)の改善に有効です。
人工呼吸療法には大きく分けて2つあります。1つはマスクなどによる非侵襲的人工呼吸、いま1つは気管挿管下(口や鼻からくだを入れた状態)の侵 襲的人工呼吸です。マスクの人工呼吸では、会話や経口摂取が可能であるなどの利点がありますが、喀痰喀出困難(痰が吐き出せない、出にくい)や誤嚥、意識 障害、ショックなどの場合は、侵襲的人工呼吸療法が必要となります。侵襲的人工呼吸管理は、長期間に及んだり、在宅で行う場合は気管切開術が必要となりま す。いずれの場合においても医療支援体制が必要です。
非侵襲的 人工呼吸器と使用時のマスク
4.人工呼吸療法の診療体制はどのようになっているか?
当院では、人工呼吸療法を行っている呼吸不全の方およびご家族に対して訪問看護による在宅での療養指導(感染予防、医療機関への連絡)、人工呼吸 器業者からの十分な機械操作の指導、在宅での機器回路の点検、呼吸器疾患担当医による呼吸不全状態悪化時の入院加療(呼吸集中治療室:RCU)等、人工呼 吸療法を受けている方への診療体制が整備されています。
5.経済的な負担はどうなっているか?
在宅人工呼吸は健康保険給付の対象となりますが、保険の種類に応じた自己負担もあります。このため、呼吸機能障害(身体障害者)の申請をすること があり、身体障害者1級には、国の医療費補助がありますが、4級より軽症ではありません。3級の場合の医療補助は都道府県により異なり、ケースワーカーな どと相談しながら、必要な方には経済的負担軽減の方策がとられます。在宅人工呼吸療法に関して、ご質問やご相談がありましたら、呼吸器内科までお気軽にご 相談ください。



