胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術
33-1 呼吸器科(呼吸器外科)|教授 佐久間勉
1.はじめに
肺癌の発生及びその死亡者は年々増加しています。従来の手術方法は背中から側胸部まで大きく切開し(20cm以上)、1~2本の肋骨を切断して、 肺葉を切除する方法が標準でした(裏面写真左)。近年、胸腔鏡の進歩により肺癌に対する胸腔鏡を利用した小さな傷 (minimallyinvasivesurgery)による肺癌手術(胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術;きょうくうきょうか・はいあくせいしゅようしゅじゅつ) が行われるようになり(裏面写真右)、当院では北陸地方で最初に開始しました。
2.適応疾患
肺に発生した小さい悪性腫瘍が適応になります。たとえば、(1)肺癌や肺肉腫など。(2)転移性肺腫瘍:肺以外に発生した悪性腫瘍で肺に転移した ものです。
3.手術方法
全身麻酔で手術します。横向きとなり、皮膚を消毒し、周囲を清潔な布で覆います。1~2ヶ所に2~3cmの切開を行い、胸腔鏡を胸の中に挿入し内 部をよく観察します。次に6~8cmの切開を追加し肺の切除を開始します。通常は肺静脈、肺動脈、気管支の順にチタン製の自動縫合器で縫合と切離を同時に 行います。切除した肺は特別な袋におさめ、切開口から摘出します。続いてリンパ節を郭清します。肺切除とリンパ節郭清の範囲は従来の開胸手術と同じです。 それが済んだら胸腔内をよく洗浄し、残った肺からの空気漏れや出血がないことを確認して、胸腔チューブを通常2本留置します。このチューブは手術後の出血 や空気漏れを体の外に排出させるためのものです。切開した皮膚を縫合し、手術は終了します。手術時間は通常3~6時間です。
4.以前の手術方法との比較
麻酔は以前の開胸手術と同じです。全身麻酔で肺の手術に独特な分離肺換気という方法が必要です。胸腔鏡による手術では傷は小さく、肋骨は切断しま せん。肺を縫ったり、糸で結紮したりする操作は、大きく開胸した方が容易ですが、胸腔鏡下でも時間はかかりますが確実にできます。胸腔鏡による手術の方が 手術の浸襲は少なく、早く回復します。すべての外科手術に共通する疼痛も緩和されます。そのため早期離床と早期退院が可能になります。手術創が小さいた め、美容の点では胸腔鏡下手術が優れています。しかし、きわめて熟練した技術が必要です。
当院は日本呼吸器外科学会の認定病院に指定されており,今後も安全な最先端医療を提供していく所存です。
(従来法)
(胸腔鏡)



