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形成外科の美容医療

37-1 形成外科|教授 川上重彦

1.美容医療(美容外科)の目的

美容医療とは、さまざまな医療技術を用いて、正常な人間の外観をより良くする診療分野です。日本においてこのような治療は、病気を治すために設け られた保険診療の対象とならないため、自費診療で行われてきました。したがって、大学病院のような公的病院では美容医療は行われず、プライベートな診療機 関でのみ行われてきました。また、美容医療を行う医師を育成する医育機関もなかったため、それに従事する医師はそれぞれ独自に診療技術を習得してきたのが 日本の実状でした。また残念ながら、医師の中には十分な技術を習得せずに診療する者、診療利益を優先させるあまり患者さまに法外な診療費を請求する者な ど,資質に少なからず問題がある医師がいる一方で、医師免許を持たないいわゆるエステティックと呼ばれる人達までもがレーザー脱毛などの美容医療に参入し たりなど、美容医療は混乱し、患者さまが多大な不利益を被ったことも多々報じられてきました。

美容医療の基本的診療技術は本来、形成外科の診療技術より派生したものです。そこで、安全な正しい美容医療を適正な診療費で患者さまに提供すると ともに、これから美容医療に従事しようとする医師の医育研修機関とするため、近年、全国の幾つかの大学病院の形成外科で美容医療が開始されております。

金沢医科大学病院の形成外科においても、同様の趣旨から平成16年春より美容医療診療を始めました。

2.形成外科が行う美容医療体制とその治療原則

外来診療は月、火、木、金曜日の午後1時30分から午後3時まで行っています。治療に際しては十分な説明に時間を要するため、原則として完全予約 制を取っています。初診(初めてご相談にのる)医師は火、木曜日に担当していますので、はじめて受診される患者さまは火、木曜日においで下さい。

美容といっても、さまざまな薬剤や手術法、医療器具(レーザーなど)を用いて行うため、全く危険性がないとはいえません。金沢医科大学病院で行う 美容医療は、十分に安全性が確認された医療しか行わない事を原則とし、重篤な合併症が生じる恐れのある医療は行っておりません。

3.診療内容

1) 瞼

上瞼では、二重瞼手術が最もよく行われ、方法には二通りあります。瞼を切らずに縫合糸を通して二重瞼にする方法(埋没法)と約1cm瞼を切って二 重瞼にする方法(切開法)です。どちらを選択するかは、瞼の厚みなどから検討されます。また、上瞼が垂れて物が見にくい、そのため頭が痛くなる、などの訴 えを持って美容外科を受診される患者さまもありますが、そのほとんどは眼瞼下垂症と呼ばれる筋肉の異常から生じるもので、これは保険診療の対象となりま す。

下瞼では、瞼の弛みや膨らみの治療が良く行われます。睫毛の直下で瞼を切開し。弛んだ皮膚や飛び出した脂肪の膨らみを治療します。

2) 顔の若返り

皮膚に皺が多くなりシミができてくるのは、皮膚の老化が原因です。このような老化が最も顕著に見られるのが顔です。いま顔の老化による皮膚の変化 を改善し若返りをはかる治療が、美容医療の中で注目されています。当病院においても、外用クリーム、注射剤、ピーリング剤、CO2レー ザー、I2PL光線治療器などを用いて治療を行っています。どのような治療を選択するかは、患者さまの年齢、患部の状態な どから検討されます。また、老化による頬の弛みを手術によって改善する方法も行っています。

3) 輪郭の修正

顔面の輪郭の修正(顎の歪みや飛び出しを無くす、顎の張り出しを無くす、鼻を高くする、頬を細くする、など)も美容医療で行われます。その中で、 顎に関するものの多くは、噛み合わせや咀嚼などの機能的異常もあるため、美容ではなく保険診療の対象となります。純粋に美容を目的とした輪郭の修正は、局 所麻酔で可能な程度の手術を行っていますが(例:鼻を高くする)、全身麻酔でなければ耐えられないような大きな手術は行っていません。

体の輪郭を修正する治療としては、乳房を大きくする(小さくする)、下腹部や臀部の脂肪を除去するなどの治療があります。当病院でもご相談に応じ ていますが、全身麻酔が必要となるような広範囲の脂肪除去などは行いません。あくまで安全性が極めて高い治療のみにとどめています。

4) その他

腋臭症、腋の多汗症、脱毛、包茎などのご相談にも応じていますが、これらの多くは保険診療の中で治療が可能です。

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