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手掌多汗症

32-4 循環器科(胸部心臓血管外科)

胸腔鏡による胸部交感神経遮断術

試験用紙やノート、書類が汗で“びしょびしょ”になり、授業や仕事で困っている方。手のひらの汗が気になり、手をつなぐことや握手するのが苦手 な方。冷房や冬の寒い時期に、指先が痛くなるほど冷たくて困っている方。またそんな人を知っている方にぜひ読んで頂きたいリーフレットです。

【多汗症】汗が多く出る状態。精神的なものと生理的なもの、全身的なものと局所的なものがある(大辞泉)。

1.手掌多汗症とは

局所的、そして精神的多汗症のひとつです。手のひら(手掌)に汗が多く出る状態で、ほとんどの場合足の裏からの発汗(掌蹠多汗症)も伴います。そ の他の局所的多汗症には脇の下の発汗(腋窩多汗症)、顔面、頚部などの多汗があります。

2.手掌多汗症の程度について

同じ多汗症でも人によって汗の出る量が異なります。手掌多汗症の場合、汗の出る量(発汗量)によってそのレベルが通常下記のように3段階に分けら れています。数字が大きいほど症状がひどいことを表しています。自分の多汗症の程度がどのレベルかを知っておくと治療に取り組むときの目安になります。

  • レベル1:湿っている程度。見た目にはわかりにくいが、触ると汗ばんでいることがわかる。水滴ができるほどではないが、汗がキラキラと光って いる。
  • レベル2:水滴ができているのが見た目にもはっきりとわかる。濡れている状態。しかし汗が流れるところまではいかない。
  • レベル3:水滴ができて、汗がしたたり落ちる。

3.治療

1) 外科的治療(手掌多汗症に一番有効な治療法です)
胸腔鏡を用いた胸部交感神経遮断術

胸部と腕の発汗や皮膚の毛細血管の収縮などを支配している交感神経の働きをなくしてしまうことにより発汗を抑えたり、皮膚血流を増加させることを 目的とする手術です(これによりバイパス手術などが不可能な手の虚血の方にも有効となります)。手術の合併症としては、胸の中に空気が残る場合(気胸)が ありますが、これは注射器で吸いとることで解決します。手術により胸部と(手を含めた)腕の発汗量が抑えられるため、腹や腰など他の部位での発汗量が増加 します(代償性発汗とよばれます)。また、発汗が抑えられた部分は乾燥傾向となるので、特に手はひび割れなどが生じないようにハンドクリームなどの保湿剤 でケアすることが望まれます。

手術の方法

手術は全身麻酔で行います。手術する側の肺を萎ませて肺が傷つかないようにしてから、脇に1か所1.5cm程の切開をして胸腔鏡という内視鏡(胃 カメラの様なもの)を胸の中に入れます。そして第2から第4までの胸部交感神経節を胸腔鏡に装着した装置により電気で焼きます。次に肺を十分ふくらませた 後、切開した皮膚は抜糸の必要がない方法で縫合します。手術中は手の指先にレーザードップラ血流計と近赤外線分光法(NIRS)という2種類の小さい装置 をつけて、交感神経の手術がうまくいっているかどうか確認します。入院期間は2泊3日で、手術翌日には通常どおりに食事もシャワーも可能です。

治療成績

過去約10年間に胸の交感神経節をとったり焼いたりした手術を行った82肢のうち、NIRS装置をモニターした41肢の初期および長期成績につい ては手術直後から全例で治療効果を認め、初期の治療成績は100%でした。術後6年での累積有効率も90.8%と遠隔成績も良好でした。

2) 保存的治療(次のようなものがありますが、ほとんど無効です)
内服治療

多汗症の治療薬として認可されている薬剤として“臭化プロパンテリン”があります。この薬には副作用として視調節障害、口が渇く、胸がドキドキす る、などがあります。

外用剤による治療

アルミニウムには汗を抑える作用があるため、アルミニウムを含む塗り薬が用いられます。アルミニウムは皮膚にとって異物であるため、かぶれなどの 副作用を生じる場合があります。

多汗症に関するホームページ

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