ストロンチウム89(「メタストロン注」)を用いた骨転移の疼痛緩和治療

ストロンチウム89(「メタストロン注」)について

この薬は、カルシウムと似た体内挙動をしめす物質で、ベータ線という放射線を放出します。この放射線は平均2.4mm(最大8mm)の範囲にしか影響を及ぼしません。体内ではカルシウムと同様の挙動をしめしますので、骨転移病巣などの骨代謝(カルシウム代謝)が活発な部位に多く集まり、そのごく隣接した範囲にのみベータ線を照射します。このようにして集中的かつ効果的に骨転移巣を照射しますので、多発性の骨転移などで体外からの放射線治療が困難な場合でも疼痛の緩和が図れる可能性があります。
しかし、骨転移にもとづく疼痛を緩和することが主目的の薬であって、腫瘍(骨転移巣)そのものを小さくする効果は通常の放射線に比べて弱いとされています。

投薬は外来注射で行います。注射は静脈から行い、通常数分で終了します。注射時の副作用はほとんどありません。注射後、すぐにお帰りいただけます。

この薬で疼痛緩和が得られるのは50~80%の患者さまとされています。即効性のあるお薬ではなく、効果が発現するまでに1~2週かかります。また、投与3~5日後に一時的に疼痛が強くなることがあります。

適応について

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)やオピオイドでは疼痛を十分にコントロールできない場合、外部からの放射線治療の適応が困難な場合にこの薬が適応になります。
組織学的ないしは細胞学的に(前立腺癌、乳癌、肺癌などの)固形癌からの骨転移である、と証明されている必要があります。多発性骨髄腫は適応にはなりません。
あらかじめ、骨シンチグラフィという検査で、疼痛部位に一致した異常集積が確認されていなければなりません。
数ヶ月以上の余命が期待できる患者さまであること。
十分な血液学的機能が保たれていること(白血球3,000以上、好中球1,500以上、赤血球300万以上、ヘモグロビン9.0以上)。
抗がん剤治療を受けている患者さまは、前後3ヶ月治療を中止していただきます。

これらの条件がすべて満たされてストロンチウム89治療の適応になります。
当院放射線科の担当医がこれらの条件を確認したうえで治療を行います。

ストロンチウム89(「メタストロン注」)疼痛緩和治療の依頼方法および治療の流れ

  1. まずは地域医療連携部にご連絡ください。
    必要に応じ、予め当院中央放射線部の医師とご相談してください。
  2. 最初の紹介時にFaxまたは郵送していただくもの。
  3. 治療歴、血液検査、骨シンチなどのデータを検討し、また予後も含めて総合的に適応の有無を判断します。
    適応有りと判断された場合、ご本人およびご家族に来院いただきます。当院本館1階受付にて放射線科初診受付をした後、放射線科にて再度受付をしてくださ い。
    担当の医師が薬の効果や注意事項などについて説明いたします(患者さまだけでなく、かならずご家族や介助されている方も一緒においでください)。
  4. 患者さまの了承のもと、注射日を仮予約させていただきます。
    適応候補者患者チェックリストを製薬会社あてに送付し、指定の期日にメタストロン注射液が当院中央放射線部に配達されます。
  5. 注射日に来院いただき、「メタストロン注」を規定量投与します。一般的な静脈注射で、数分で終了します。
    退出時、本薬を注射された患者さまの放射能量を測定し記録し、患者情報カードをお渡しします(1年間所持してください)。
  6. 定期的(原則的に隔週毎)に血液検査を実施し、骨髄抑制の状況をチェックします(主治医または当院担当医)。必要により、おむつ等の管理連絡票をお渡しします。
  7. 本薬には全例調査報告義務があるため、治療経過等について必要事項を記入後、公的機関に報告させていただきます(当院担当医)。

金沢医科大学病院

〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1

TEL 076-286-3511

【診療受付時間】
平日 初診 8:30~13:00
  再診 8:00~13:00
土曜   8:30~12:00
【休診日】
土曜日の午後・日曜・祝日
年末年始(12/29~1/3)
大学開学記念日(6/1)
旧盆(8/15)