放射線診断の治療への応用 インターベンショナルラジオロジー

放射線科教授 的場 宗孝


1.インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology) 

インターベンショナルラジオロジーとは、病気の診断に用いられてきた放射線診断技術を治療へ応用したもので、X線透視像や血管造影像または超音波やCT像などを見ながら、体内にカテーテルと呼ばれる細い管や針などを入れ、外科的手術なしで出来るだけ体に傷を残さずに病気を治療する、身体にやさしい画期的な治療法です。

手術を必要としないため、身体に与える負担が少なく、病気の場所だけを正確に治療することができ、入院期間も短縮されます。

私たちの体内には、全部をつなぐと10万km( 地球を2周半 )の長さになる血管が張り巡らされています。また、胆管や尿管、消化管などの大事な管もあります。

インターベンショナルラジオロジーは、これらの管にカテーテル(細い管)を挿入し、つまった血管や胆管を拡げたり、出血した血管をつめて止血したり、がんを死滅させたりなどのさまざまな治療を行います。

現在、インターベンショナルラジオロジーは、患者さんに対する侵襲が少ないところからMinimally Invasive Treatmentなどと呼ばれる治療法で、いろいろな病気の治療に応用され、その種類と手技は多岐にわたります。以下にその一部を紹介します。

 

2.血管系インターベンショナルラジオロジー

1)選択的動脈塞栓術:動脈内へ挿入したカテーテルを利用して、血管を閉塞させることにより行う治療法です。肝臓がんのようながんを養う血管が動脈から豊富に発達した悪性腫瘍や、交通外傷などによる体内の出血、炎症や潰瘍などによる消化管や気管支からの動脈性出血などが対象となります。がんへの栄養血管や出血の原因となっている破裂した血管を血管造影にて同定し、その目的とする血管へ血液の流れを止める薬(塞栓物質)を血管内のカテーテルを介して注入し、がんへの栄養を絶つことによりがんを兵糧責めにして死滅させたり、血管からの出血を止める治療法です。とくに肝臓がんに対する動脈塞栓術は、肝臓がんの有効な治療法の一つとして、すでに確立されており、良好な治療成績が報告されています。

2)選択的動注化学療法 : 血管造影にて、がんを栄養している動脈を同定し、その目的とする動脈にカテーテルを介して、直接、腫瘍を殺す薬( 抗がん剤 )を注入する方法です。動脈から直接、抗がん剤を注入することにより、がん局所に高濃度の抗がん剤が到達し、薬効の増強が期待されます。さらに、静脈からの抗がん剤投与よりも薬効を減じることなく、薬の投与量を減らすことが可能で、抗がん剤の副作用も軽減されます。また、繰り返し抗がん剤の動注が出来るようにカテーテルを体内に埋め込み(リザーバーカテーテル留置)、治療を行うことも可能です。リザーバーカテーテル留置を行うことで、外来通院にて動注化学療法を受けることも可能となります。

3)血管形成術:動脈硬化などの原因により細くなり、血流が悪くなった血管を拡張させ、血流を改善させる治療法です。血管造影にて細くなった血管の場所を同定し、血管内から特殊な風船付カテーテルをその細くなった場所へ進めて、風船を膨らますことによって細くなった血管を拡張させます。さらに、拡張された血管が再度、細くならないようにステントという金属性のチューブを血管内に留置することもあります。

 

3.非血管系インターベンショナルラジオロジー

1)針生検:生検とは、腫瘍の一部を摘出し、その組織を調べることにより腫瘍の良性、悪性の区別や腫瘍の種類(組織型)を知るために行うものです。腫瘍の場所を超音波やX線、CTを見ながら確認し、体の表面から細い針を腫瘍に差込み、腫瘍組織の一部を吸引あるいは切除してきます。細い針を使うため、体の傷は僅かで、甲状腺や乳房の生検でも傷は目立ちません。

2)膿瘍穿刺ドレナージ:体の中に膿が溜まったものを膿瘍と言いますが、膿瘍を治療するには溜まった膿を排出することが重要です。そのためには、膿瘍に排膿するための管(ドレナージチューブ)を差し込むことが必要となります。超音波やCTを見ながら、膿瘍の位置を確認し、体の表面からドレナージチューブを膿瘍へ差し込み排膿します。以前は、手術的に膿瘍にドレナージチューブを挿入しなければならなかった体の深部に出来た膿瘍でも、インターベンショナルラジオロジーの技術にて、体への負担が少なく、正確に膿瘍穿刺ドレナージが可能となりました。

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