気管支喘息(ぜんそく) ②治療

呼吸器内科

※「気管支喘息①診断」と併せてご覧ください。

 

1.気管支喘息のアレルゲン回避

気管支喘息の原因となる物質(アレルゲン)がわかっているときは、それを回避するよう生活、環境の改善を行います。たとえば、ペットが原因の場合は友人に譲るとか屋外で飼うようにする、スギ花粉が原因の場合は花粉飛散のシーズンにはマスクをするなどです。ダニやハウスダストやほこりが原因の場合、完全な隔離は困難ですが生活環境の改善が必要です。

 

2.気管支喘息の薬物療法

大きく、コントローラー(非発作時のクスリ)とレリーバー(発作が起こったときのクスリ)に分けられます。コントローラーとして、現在喘息治療の中心となっているのが、吸入ステロイドです。病態の項でも述べましたが、喘息は慢性の炎症性疾患のため、強力に炎症を抑えるステロイドはきわめて理にかなったクスリです。ただ、経口で長期間全身的に投与されるといろいろな副作用がでてきます。易感染性(感染しやすくなる)、骨粗鬆症(骨がもろくなる)、耐糖能低下(糖尿になりやすい)などです。ステロイドは炎症を起こしている気道だけに作用するのが一番理想的であり、吸入ステロイドが推奨されています。経口ステロイドに比べて、投与量が少なくてすみ、従って副作用も少ないわけです。副作用としては、咽頭刺激感、口腔カンジダ(一種のカビ)などです。ただ、吸入ステロイドも中等症以上の喘息発作では効果が弱く、レリーバーとしては静注や経口のステロイドを必要とすることが多いです。

抗アレルギー薬も軽症の喘息にはよく使われます。喘息の原因のアレルギー物質から気道に炎症細胞が集まるまでの経路をブロックするもので理論的にはいいクスリですが、実際におこった発作には効果がなく、レリーバーとしては効果がありません。軽症(から一部中等症)の喘息発作が起こらないようにするためのクスリと私は位置づけています。

治療でとても大切な、コントローラー(非発作時のクスリ):2種類レリーバーとしては、気管支拡張作用をもつ交感神経β2刺激薬やテオフィリンがあげられます。

交感神経のβ2受容体といわれるものは気管支拡張作用が強く、脈が速くなったり手がふるえたりするβ1作用による副作用も少ないので、選択的β2刺激薬を使います。投与方法としては、即効性を期待して吸入あるいはネブライザーという形をとります。また、長時間作用型のβ2刺激薬はコントローラーとしても用いられます。

テオフィリン製剤は、気管支拡張作用の他、呼吸刺激作用、炎症細胞に対する作用などがあります。即効性もあり発作時にも点滴にてよく使用されます。また、長時間作用型の経口薬はコントローラーとして用いられます。クスリの効果がある濃度と副作用のある濃度が近接しているため、血中濃度をモニターしながらの使用が望まれます。肝障害、老人、ある種のクスリを併用している時には、予想外に血中濃度が上がることがあり、注意が必要です。

 

3.気管支喘息の定期的管理

たくさんの喘息患者さんをみていると、時々発作が治まると通院をやめてしまうヒトがおられます。患者さんとしては自覚症状がなくなったわけなので、あるいは喘息が治ったと思いこまれるのも気持ちとしてはよくわかります。しかし、喘息は風邪と異なり、一見治った(発作が治まった)ように見えても実は気道の炎症はまだくすぶっており、自己判断で治療を中断すると結局慢性化してしまうおそれがあります。病態の項で述べましたが、喘息発作の患者では気道の上皮細胞がはく離しており、気道過敏性が亢進している状態です。上皮細胞が再生してくるには2~3週間はかかるといわれています。つまり、発作がおさまっても、2~3週間は気道の「安静」を保たなければ容易に発作が再燃するおそれがあるわけです。しかもこれは初発の喘息の場合であって、発作が何回もおこって慢性化している患者では、気道過敏性がおさまるまでさらに長期間を要すると考えられます。

このように、喘息は慢性化するとやっかいな病気であり、医師だけでなく患者自身が主治医という自覚をもって対処するべき疾患で、実際喘息に対するきちんとした知識をもっている患者さんは、そうでない患者さんより発作の頻度や程度が軽くてすみます。

喘息に対する意識を高めるのに一番いいのは、「喘息日誌」をつけることです。その日の体調、痰の量、ヒュー音、そしてピークフローなどを自分で日誌形式でつけることで、喘息に対する意識も高まりますし、発作の予知もある程度できます。ピークフロー(どれだけ強い息を吐けるかの指標)はハンディ-タイプのものが出ていますし、在宅で手軽に測定できます。最近の喘息治療ガイドラインでは喘息の自己管理を推奨し、ピークフローが通常の80%以上をグリーンゾーン(青信号)、60~80%をイエローゾーン(黄信号)、60%以下をレッドゾーン(赤信号)として、その数値によって患者さん自身が病院を受診すべきか、吸入薬で様子をみていいのかを判断する目安としています。ピークフロー、喘息日誌は、呼吸器科専門の病院では必ず置いてあると思いますので、興味を持たれた方は主治医の先生と相談してみて下さい。一般の日記でわかるように、結構最初はめんどくさいと思いますが、慣れてくると意外に手間はかからないものです。日誌をつけないまでも、ピークフローを1日1回でも行うと現在の自分の状態がある程度客観的に把握できるため、お勧めします。なお、自己管理という意味で禁煙は絶対に必要です。いいクスリを使っても、タバコを吸っていては意味がありません。喘息と診断されたら必ず禁煙してください。

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