「爪白癬」の完全治癒をめざして

皮膚科(教授) 望月 隆


1.「爪白癬」とは

外来では、よく患者さんから水虫はいろんな種類があるのですかと聞かれます。その場合はまず2種類の水虫についてお話することにしています。

水虫には大きく分けてカビ(白癬菌)により症状が生じている場合と、白癬菌の関与していない場合の2種類があります。つまり、水虫は、白癬菌が角質に寄生して起こる白癬と、見た目には医者でもほとんど見分けが付かない湿疹、かぶれや掌蹠膿疱症、乾癬などの炎症性の病気が含まれています。医療機関を受診される水虫患者の3人に1人は白癬菌のいないタイプの水虫だったとの報告があります。

一方、白癬菌はケラチン蛋白を分解して発育するので白癬は皮膚表面だけでなく、ケラチンでできた爪にも感染する事があります。足の爪では始め先端や横から濁って来ます。やがて菌が爪の実質を深く侵すと分厚くなり、先端からくずれてきます。当初は自覚症状はありませんが、分厚いものでは痛みが生じ、また細菌の2次感染を起こしたりします。これが手の爪に生じてくると、細かい手作業に困難を来たす場合もあります。従来は爪に白癬菌が侵入すると治す事が困難でした。幸い最近では有効な内服薬の開発が進み、本院皮膚科ではこれに理学療法、外用療法を併用して、効果をあげています。

 

 2.検査、診断方法

皮膚科では、爪の濁った部分や、皮膚の病変、例えば足指の間の皮むけや水疱などからも、一部分検体を取って顕微鏡で白癬菌がいるか検査します。検査時の痛みはほとんどありません。10分程度で検査の結果が出ます。また培養で菌の種類を調べることもありますが、これには2週間ほどかかります。菌は10種類あまりが知られています。

 

3.治 療

足の皮膚だけならば、外用剤で治療が可能ですが、爪白癬の完全治癒は抗真菌剤の内服が必要です。3~6月間抗真菌剤を内服しますと80%ほどの患者さんが治癒することが知られています。爪が分厚い場合はさらに削ったり白くなった部分に穴を開けて外用剤を詰め込む治療をします。ただし、内服に先立って肝臓と血液の検査を行います。検査が正常な方のみ内服が可能です。また、その後もときどき検査をします。肝機能検査は内服中1%程度の頻度で異常値が出ますので、その際は止めていただきます。また他の病気でお薬を飲んでいる方は薬の相性が悪い事があるので必ず申し出てください。

 

4.診療体制

毎週月曜日から土曜日まで新患を受け付けています。血液検査が必要な場合があり、なるべく午前中に受診して下さい。月、水、金の昼から3時までは真菌専門外来(再診のみ、要予約)を開設しています。この時間帯で爪を削る治療をしています。

 

5.菌のいないタイプの水虫

掌蹠膿疱症、乾癬も白癬と同様の症状を示しますが、原因はまだわかっていません。この場合は炎症をとめるステロイド剤の外用や、ビタミンDの外用を行います。掌蹠膿疱症の患者さんでは約半分で慢性扁桃炎や歯槽膿漏など、手足と離れた所に慢性の細菌感染が見つかり、扁桃腺を切除したり、歯槽膿漏を治療しますと、かなりの方で皮膚の症状が改善します。なお本院皮膚科では北陸でもっとも進んだナローバンドUVBによる光線治療装置を2002年に、そしてさらに新機種を2005年に設置しましたが、これらの病気では光線治療が良く効く場合があり、症状に応じて光線治療を行っています。金曜日の3時~6時まで光線治療専門外来を開設しています(再診のみ、要予約)。

 

6.爪白癬の予防法

一度なると治療が困難な爪白癬ですが、これは足白癬を長く放置するうちに発生します。最良の予防法は足白癬を治療することといえます。また白癬自体はうつりやすい病気ではありませんが、油断していると同居している人にうつります。水虫の症状が出てくれば足白癬か診断を受け、早期に治療するようにしましょう。

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金沢医科大学病院

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