ハートセンターにおける 虚血性心疾患の治療態勢

循環器内科学(教授)・循環器内科(科長) 梶波 康二

 

 1.虚血性心疾患

現在、日本人の死因の第1位は癌、第2位は心臓病、第3位は脳血管障害です。このうち第2位、第3位は、いずれも動脈硬化が原因となって発症するものが中心で、動脈硬化性疾患とも呼ばれ、その両者を合わせると、がんを抜いて日本人の死因の第1位になります。高齢者人口増加とともに、この動脈硬化性疾患の予防と治療が非常に重要になってきました。

動脈硬化性心血管病の中でも死因の大部分を占めているのが「虚血性心疾患」です。心臓の筋肉(心筋)を栄養する動脈を冠動脈と呼びますが、虚血性心疾患とはこの冠動脈が動脈硬化のため、内腔が狭くなり、心筋が必要とする血液の供給が不足することで起こります。

一般に、冠動脈が狭くなり流れる血液が減少したものを「狭心症」といい、さらに進行して冠動脈の内腔が詰まった状態を「心筋梗塞」といいます(喫煙、糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症がこれら虚血性心疾患の5大危険因子といわれています)

1)狭心症

狭心症の主症状は胸痛です。急に前胸部が締めつけられるように感じ、圧迫感などの不快感を伴った痛みとなります。その痛みは、左腕や顎などにも放散することがあります。階段を上ったり急いで歩いたりするときに起こるのは労作性狭心症、睡眠中や静かにしている時に起こるのは安静時狭心症です。発作は数分~15分位の持続でおさまることが多く、ニトログリセリンの舌下ですみやかに改善するのが特徴です。

2)心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化により狭くなった冠動脈内腔が血栓により閉塞することにより起こります。狭心症より重篤な疾患で、死亡率が30%と非常に高く、多くは発作直後から12時間以内に死亡することが多いと言われていました。これを克服するため冠動脈集中治療室(CCU)という専用施設が考案され治療成績は飛躍的に向上したことから、心筋梗塞の疑いがある場合はできるだけ早く収容すべきです。その症状は、前胸部痛、すなわち胸骨中央部がえぐられるような痛み、重い物を乗せたような痛み、棒でかきむしられるような感じで表現されます。胸痛は30分以上、さらには数時間にわたって持続し、死への恐怖感や不安感を伴う場合もあります。時間が経過していくと、血圧が低下し、顔面蒼白、冷汗、呼吸困難、意識障害などのショックを呈することが、しばしばあります。なお、安静時狭心症でニトログリセリン舌下の効果が少ない方は、心筋梗塞に移行しやすいので、なるべく早めに主治医に相談してください。また、糖尿病などを合併している方は、胸痛を自覚しない場合がありますので、軽い異変でも遠慮なく主治医に相談してください。

 

 2.冠動脈の治療法

狭心症、心筋梗塞が疑われたら、積極的に冠動脈造影検査を受け、治療法を決めることをお奨めします。心筋梗塞は、冠動脈が詰まり、心筋が壊死を起すことですから、時間が経てば経つほどその状態が悪化して行きます。発症6時間以内と6時間以後では治療の成功率やその効果が大きく違うため、より早期の治療が大切です。

1)カテーテルインターベンション(内科的治療)

冠動脈造影検査を行い、冠動脈閉塞(狭窄)部位を確定します。続いて閉塞(狭窄)している冠動脈に血栓溶解剤を投与したり、バルーンでの拡張、さらにはステント挿入による治療を併用し閉塞(狭窄)している冠動脈を治療します。

2)バイパス術(外科的治療)

冠動脈インターベンションが奏効しない場合は、冠動脈バイパス術を行います。

高齢化社会を反映し、外科治療の適応となる患者さんも高齢化しています。高齢者には、肝臓、腎臓、肺の機能低下および心臓以外の他臓器(脳、下肢、腹部等)の動脈硬化が進行している方が少なくありません。このような患者さんは、人工心肺装置を使用して心臓と肺を止める従来の方法では、術中および術後に合併症を起こす可能性があります。最近は人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術が行われます。

 

3.ハートセンターで万全の態勢を備えた虚血性心疾患の診療体制

金沢医科大学病院のハートセンターは、北陸の循環器疾患治療の拠点としての診療体制を整えております。とくに緊急を要する急性心筋梗塞や合併症、急性大動脈解離、急性動脈閉塞、さらには重症不整脈疾患等に対して、循環器内科と心臓血管外科を中心とした医療チームが一体となり、昼夜を問わず24時間体制で診療に当たっております。

ハートセンターの病床数は8床あり、うち4床は個室でその中の2床は洗面所とトイレが設置され、1床は陰陽圧対応型個室で感染予防を目的とした特殊な部屋になっています。また1床は部屋内で緊急外科手術もできるようになっています。

さらにセンター内には、心臓血管撮影室が2室設置され、急性心筋梗塞に対しても常時、冠動脈カテーテルインターベンションができる体制を整えています。

【診療受付時間】
平日 初診 8:30~13:00
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金沢医科大学病院

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