慢性腎不全の治療

腎・泌尿器科・腎臓内科(教授) 横山 仁

1.腎臓の病気かどうか? どんな病気か、治療できるのか、治るのか?

検診で血尿・蛋白尿が指摘された場合、まず原因が腎臓にあるかどうかの判断が必要です。そのために最も大切な検査が「腎生検」です。これは腎臓に針を刺し組織の一部を取ってきて直接調べる検査です。血尿・蛋白尿の原因を診断することで、治療法があるかどうか、どのような薬が有効かなどを判断できます。検査自体は30分ほどで済みますが検査後数日は安静を要するため、約1週間の入院が必要です。当科ではこれまでに腎生検を2,177例行っています。

2.多発性嚢胞腎の診断と治療

超音波検査やCTスキャンで腎臓の検査を受けると、しばしば腎臓に水ぶくれ(嚢胞)が出来ているといわれることがあります。大部分は加齢に伴って発生するもので、放置しておいても良い単純性腎嚢胞という病気ですが、中には遺伝性のもの、悪性のものもあるので、これらを鑑別する必要があります。

多発性嚢胞腎は、腎に嚢胞が出来る遺伝性の病気です。片親がこの病気の場合、その子供は男女を問わず50%に、すなわち二人に一人の確率で遺伝します。この病気では腎臓に嚢胞が無数に発生するため、50~70歳代になると半数のヒトで腎機能がなくなり、透析療法が必要になります。また脳底動脈に動脈瘤ができて、くも膜下出血を起こしやすいのも特徴です。当科ではこれらの診断・治療はもとより家族のカウンセリングも行っています。

3.慢性腎不全の治療法

慢性腎不全の治療法には、血液透析、腹膜透析(CAPD)、腎移植の3つがあり、患者さんはそのいずれかを選ぶことになります。日本では血液透析患者さんが一番多く、現在31万人を数えます。また日本における血液透析の成績は世界で最もすばらしく、最長例は現在45年間で、我々の血液浄化センターでも40年という患者さんが何人かおられます。

4.血液透析合併症と治療

1)心血管合併症

透析期間が長くなると、血液透析による合併症が次第に起こってくる様になります。高血圧、貧血についてはかなり治療が出来るようになりましたが、問題は心臓や血管の合併症で、これらに対しては心臓の大きさの検査、心電図、心機能、超音波検査、心筋スキャン、心血管造影、PTCA、CABGなどを用いて日々の治療に取り組んでいます。また、脳血管障害、下肢の血流障害に対しては関連他科との共同で治療を行っています。

2)透析アミロイドーシス

血液透析を20年間受けていると、β2ミクログロブリンが体内にたまり、約半数の患者さんに、手根管症候群の手術が必要となります。具体的には、手のしびれ・痛み、手ぬぐいが絞りにくい、肩の痛み、正座ができないなど透析アミロイドーシスの症状が出ます。我々の血液浄化センターではβ2ミクログロブリンを極力体外に除去できるように、透析方法や透析液に工夫をこらし予防をしています。それでも起こったときには、手術療法や薬物療法によって、患者さんにより良いQOLを提供できるよう透析を行っています。

3)二次性副甲状腺機能亢進症

透析患者さんは体内からリンが除去できないため副甲状腺の機能が亢進し、骨が弱くなり、血管に石灰がつきやすくなります。透析患者さんにはCaとリンのコントロールを厳密にし、リンが上昇しないような食事指導、服薬指導を行うとともに、副甲状腺ホルモン上昇時には活性型ビタミンDやカルシウム受容体アゴニストの投与などで予防します。しかし、それでも二次性副甲状腺機能亢進症が収まらないときは、PEIT治療や副甲状腺摘除術を行います。手術をすれば副甲状腺ホルモン値も骨の変化も改善されます。

4)後天性腎嚢胞と腎癌

透析を長期間受けていると、特に男性では、萎縮した病腎に後天性の嚢胞が発生し、再び萎縮腎は大きくなることがあります。またこの多嚢胞化萎縮腎には腎癌が出来ることもありますので、定期的にCTスキャンによる検査を実施しています。後天性腎嚢胞は腎移植を受けると消失し治ってしまいます。

5.腎移植を含めた腎臓病の総合医療体制

先に紹介したように当科は慢性腎不全の3つの治療法の全て行っている全国でもユニークな腎臓内科です。総合医療体制をとっていますので、患者さんはそれぞれの治療法を身近に目にすることができ、自分の目で自分にあった治療法を自分のライフサイクルに合わせて選択できるという利点があります。

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