胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術

呼吸器外科学(教授) 佐川 元保

1.はじめに

肺癌の発生及びその死亡者は年々増加しています。従来の手術方法は背中から側胸部まで大きく切開し(20cm以上)、1~2本の肋骨を切断して、肺葉を切除する方法が標準でした(裏面写真左)。近年、胸腔鏡の進歩により肺癌に対する胸腔鏡を利用した小さな傷(minimally invasive surgery)による肺癌手術(胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術;きょうくうきょうか・はいあくせいしゅようしゅじゅつ)が行われるようになり(裏面写真右)、当院では北陸地方で最初に開始しました。

 

2.適応疾患

肺に発生した小さい悪性腫瘍が適応になります。たとえば、(1)肺癌や肺肉腫など。(2)転移性肺腫瘍:肺以外に発生した悪性腫瘍で肺に転移したものです。

3.手術方法

全身麻酔で手術します。横向きとなり、皮膚を消毒し、周囲を清潔な布で覆います。1~2ヶ所に約2cmの切開を行い、胸腔鏡を胸の中に挿入し内部をよく観察します。次に6~8cmの切開を追加し肺の切除を開始します。通常は肺静脈、肺動脈、気管支の順にチタン製の自動縫合器で縫合と切離を同時に行います。切除した肺は特別な袋におさめ、切開口から摘出します。続いてリンパ節を郭清します。肺切除とリンパ節郭清の範囲は従来の開胸手術と同じです。それが済んだら胸腔内をよく洗浄し、残った肺からの空気漏れや出血がないことを確認して、胸腔チューブを通常1本留置します。このチューブは手術後の出血や空気漏れを体の外に排出させるためのものです。切開した皮膚を縫合し、手術は終了します。手術時間は通常3~5時間です。

 

 

4.以前の手術方法との比較

麻酔は以前の開胸手術と同じです。全身麻酔で肺の手術に独特な分離肺換気という方法が必要です。胸腔鏡による手術では傷は小さく、肋骨は切断しません。肺を縫ったり、糸で結紮したりする操作は、大きく開胸した方が容易ですが、胸腔鏡下でも確実

にできます。胸腔鏡による手術の方が手術の浸襲は少なく、早く回復します。すべての外科手術に共通する疼痛も緩和されます。そのため早期離床と早期退院が可能になります。手術創が小さいため、美容の点では胸腔鏡下手術が優れています。しかし、熟練した技術が必要です。

当院は日本呼吸器外科学会の認定病院に指定されており,今後も安全な最先端医療を提供していく所存です。

 

 

 

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(従 来 法)

 

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(胸 腔 鏡)

 

 

 

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