特発性血小板減少性紫斑病 (免疫性血小板減少症)

血液・リウマチ膠原病科(特任教授 福島 俊洋

 

1. 特発性血小板減少性紫斑病 (免疫性血小板減少症)とは

「特発性血小板減少性紫斑病」は「血小板」という出血を止める血球の数が減って血が出やすくなる、あるいは血が止まりにくくなる病気です。骨髄で血小板を作る「巨核球」が減っていないのに血小板が減るので、「特発性(原因が明らかでないという意味)」とされてきました。現在では免疫の異常により血小板に対する自己抗体(「抗血小板抗体」)ができ、血小板が脾臓で壊されやすくなることが血小板の数が減る原因であることが明らかになり、「免疫性血小板減少症」という名前で呼ばれるようになってきました。なお、特発性血小板減少性紫斑病も免疫性血小板減少症も英語の略号は「ITP」です。毎年、人口10万人当たり約2人が発症すると言われています。小児では自然に良くなることの多い「急性型」が、大人では経過が長い「慢性型」が多く、また、慢性型は若い女性に多いとされています。この病気は厚生労働省の難病(「特定疾患」)に指定されており、手続きを行えば国から医療費の補助を受けることができます。

 

2. 症状

血小板は骨髄で作られ、血液 1mm3あたり15万-35万個存在します。血小板の数が基準値を下回ってもすぐに症状が出るとは限りませんが、通常、3万を下回ると症状が出やすくなると言われています。主な症状として、「点状出血」「紫斑」があります。これらは皮膚の内出血によるもので、数ミリ程度の赤~紫色の斑点状の皮疹です。かゆみが無く、押さえても消えないのが特徴です。そのほか、鼻血や歯肉からの出血、小さな傷でも血が止まりにくい、女性の場合には月経の出血が止まりにくいなどがあります。血小板がさらに減ると脳出血のような命にかかわる出血の危険性が高まります。

3. 治療

血小板の数が2万-3万を下回る場合、治療が必要とされています。ただし、維持すべき血小板数は年齢、ライフスタイル、出血症状の程度により異なります。

日本ではまず最初にピロリ菌の感染を確認し、陽性であれば抗生物質2種類とプロトンポンプ阻害剤という胃潰瘍や逆流性食道炎に対する薬を使ってピロリ菌を除菌します。ピロリ菌の感染者であれば6割の患者さんに有効とされています。ただし、人種差が大きく、欧米ではあまり行われていません。また、日本でも小児の患者さんには効果が低いとされています。

ピロリ菌の感染の無い患者さんや、ピロリ菌除菌で効果が得られなかった患者さんには副腎皮質ステロイドによる治療を行います。日本では体重1kgあたりプレドニゾロン 1.0mgの内服から開始し、効果をみながら減らしていきます。50-90%の患者さんで血小板の数が回復しますが、効果が持続するのは約半数で、中止できるのは10%程度とされています。また、副腎皮質ステロイドには糖尿病、骨粗しょう症、感染、胃潰瘍、白内障、不眠などさまざまな副作用があり、注意が必要です。

副腎皮質ステロイドの効果が十分でない場合や副作用などで継続困難な場合には、脾臓を取る手術「摘脾」を行います。脾臓は血小板を壊す場所であるとともに、病気の原因である抗血小板抗体を作る場所でもあるため、摘脾は最も完治の可能性の高い治療と考えられていて、約半数の患者さんで追加治療の必要がなくなります。また、摘脾には以前は開腹手術が必要でしたが、近年多くが内視鏡手術で行われるようになっています。摘脾など、手術前には血小板の数を高めておく必要があり、手術1週間前から「免疫グロブリン」の点滴を行います。脾臓を取ると感染をおこしやすくなることが知られており、注意が必要です。

ここ数年の間に特発性血小板減少性紫斑病の患者さんでは血小板を増やす「トロンボポエチン」という造血因子が不足していることが明らかになるとともに、治療としてトポンボポエチン受容体作動薬が有効であることが明らかにされました。トポンボポエチン受容体作動薬はすでに日本でも保険診療として承認されており、今後摘脾よりも優先される可能性もあります。欧米では悪性リンパ腫に対する治療薬であるリツキシマブも広く用いられていて、将来日本でも使用できるようになる見込みです。

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