小児の鏡視下手術

小児外科(教授)河野 美幸 

 

1.小児の鏡視下手術

鏡視下手術は、小児領域(新生児から15歳まで)においても手術侵襲が少なく、術後の回復が早いなどの利点から、成人と同様、腹部の手術だけでなく胸部の手術にも適用されるようになりました。また、開腹や開胸と鏡視下の利点を組み合わせて行う鏡視補助下手術という方法が行われることもあります。しかし、すべてのお腹の手術や胸の手術が鏡視下で行われるようになったわけではありません。鏡視下で、できる病気とできない病気があります。

鏡視下手術は開腹手術や開胸手術に比べ、傷が小さく、手術の後の痛みが少ないなど多くの利点があります。しかし小児では成人と比べ、お腹や胸の広さがかなり小さく手術操作が難しいため、熟達した外科医がそれらの利点や問題点を検討して、一番良い手術方法を選択して行います。

 

2.鏡視下手術を行っている主な疾患

1)腹部疾患

急性虫垂炎:小児で比較的多い病気です。急性で緊急手術となる疾患ですが腹腔鏡手術で行っております(喘息や他の疾患を有する場合は除く)。腹腔鏡下虫垂切除術でほとんど創部が目立たちません。また穿孔など重症例でもほとんどが鏡視下で可能です。

胃食道逆流症:食道と胃の境界にある噴門機能の働きが悪く生じる疾患です。胃食道逆流により食道炎が生じたり、嘔吐のため十分な栄養を摂取できなくなったりします。また嘔吐により誤嚥性肺炎などをきたすこともあります。胃食道逆流は、腹腔鏡下噴門形成術により防止することができます。

メッケル憩室:小腸の憩室で生まれつきのものですが、憩室に胃粘膜などが迷入し、小腸に潰瘍を生じ潰瘍からの出血で、下血として見つかることが多い疾患です。多くが緊急を要しますが腹腔鏡補助下切除術が可能です。

ヒルシュスプルング病:腸管壁神経の病気で、病変部の腸管が動かないため便秘や腹 部膨満が生じる疾患で手術が必要となります。病変部が短い場合は、現在では腹部に切開を加えることなく経肛門的に手術が行われますが、病変部が長い場合でも、腹腔鏡補助下で腹部の傷がほとんど目立たずに根治術が可能となっています。

遺伝性球状赤血球症・特発性血小板減少性紫斑病:血小板減少に対して脾臓摘出が必要となる疾患です。脾臓は粉砕しながら摘出するため鏡下術が可能です。

卵巣嚢腫・腫瘍:小児では嚢腫や腫瘍などによる卵巣腫大で、捻転が生じて発見されることが多くあります。その場合緊急手術となりますが腹腔鏡下あるいは腹腔鏡補助下切除術が行われます。

腹腔内精巣:精巣が陰嚢内に下降せず、腹腔内に留まっている疾患です。精巣の発育を促すためには陰嚢内に降ろす必要があります。開腹では精巣を探すだけでも大変な手術となりますが、鏡視下では腎臓までの高さまで観察して精巣を探し、精巣を降ろす手術が可能です。

直腸肛門奇形(特に直腸膀胱瘻):鏡視下で直腸膀胱瘻を切離することが可能で、仙骨会陰部の切開と組み合わせて直腸を引き下ろします。従来の開腹に比べ、侵襲が著明に少なくなります。

腹部腫瘤・腫瘍:副腎腫瘍、腎腫瘍や腹腔内腫瘤や腫瘍も可能な限り鏡視下手術を選択しています。

2)胸部疾患

漏斗胸:胸部が陥凹している状態で、胸骨挙上術が行われます。胸腔鏡補助下で傷の目立たない胸骨挙上術が行われます。

縦隔腫瘍・肺腫瘍:胸腔鏡下あるいは補助下切除術を行っています。

横隔膜ヘルニア・弛緩症:新生児以降に発見される横隔膜ヘルニアや横隔膜弛緩症に対しても鏡視下手術により修復術や横隔膜縫縮術を行っています。

 

3.鏡視下手術の選択

同じ病気でも、年齢や病気の状態などによって手術や治療法が異なることがあります。鏡視下手術が適応になるかどうか専門医とよく相談する必要があります。詳細につきましては小児外科を受診し相談してください。

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