社会環境保健医学(衛生学)
Kanazawa Medical University
研究紹介 |
1. 産業保健グループ |
能川前教授の時より産業保健学の研究を手がけており、それは現在も受け継がれている。職場でも「付き合い」による酒は常態化しており我が国のアルコール消費量が増大する中で飲酒に関連した健康問題に対する関心が高まってきている。飲酒は血圧を上昇させる。その機序は以然として不明であるが、飲酒による昇圧反応には血清γ-GTP値が密接に関係することを認めた。血圧γ−GTPとの関係は、この酵素のアルコールによる肝細胞での誘導よりは、肝細胞膜障害による血中漏出を反映するものであるという成績から、アルコールによる昇圧機序には細胞膜機能異常が深く関与することが示唆された。血清γ−GTP値と血圧の相関は飲酒習慣のない肥満者でも認められ、アルコールと肥満による昇圧機序には、細胞膜機能異常を介する何らかの共通性があるものと考えられる。現在細胞膜脂質構成や細胞内Caイオンの動態との関係の研究がすすめられている。 |
2.環境保健グループ |
初代の石崎有信教授の時より環境中カドミウム暴露の健康影響に関する研究が行われている。研究は以下の3方向からの進められていた。第1は臨床化学面よりカドミウム中毒の早期発見法や診断法を確立すること、第2にカドミウム暴露と健康影響との間の量−反応関係を明らかにする疫学研究、第3は動物実験によるカドミウムの骨影響の発生機序の解明であった。これらの研究はカドミウムの摂取許容量を決定するものである。現在は主にカドミウム暴露の骨影響について疫学的に研究しており、今後は一般の人の骨粗鬆症に関連した分野にも展開する予定である。鉛陶磁器上絵付け作業者での低濃度長期鉛暴露と健康影響、特に動脈硬化を中心に研究されている。 |
3. 高齢化社会における女性の健康グループ |
高齢化社会の到来の中で、Well-being After Menopauseをキーワードに女性の骨粗鬆症対策の研究が当教室では進められている。男性を中心とする研究が多い中、我々の教室では、女性の健康問題を中心に据えて研究を発展させている。高齢化社会に移行している下で、確実に骨粗鬆症がふえていくと推測されている。特に女性では55才以後急速に発症率が上昇し、転倒による骨折から要介護老人の一因である事が指摘されている。更年期以後の女性ホルモンの変化から女性の骨粗鬆症は進行している。この進行に対する予防対策に関する研究を進めている。 |
4. 職業病関連疾患グループ |
コンピューター化は今や、職場に限らず、家庭を含め社会の至る所で急速に進行しつつある。日々、私達のブラウン管を見る(液晶も含めて)時間は長くなってきている。コンピューター化が急速に進む中で、人体への影響、適切な利用方法は立ち遅れているものと考えられる。 VDT作業者を対象として職業病関連疾患(ドライアイ症候群、上肢運動機能障害など)について研究を進めている。 |