03/08/26
■ MRSAに感染している患者の家族の対応について
【質問】
 祖父が慢性の呼吸器疾患で入退院を繰り返しています。誤嚥性の肺炎とのことですが, 胸水も溜まっていて, 肺の半分ほどしか機能してないとのことです。今回の検査でMRSAが痰から出ているとのことです。毎日看病で付き添っており不安な点がいくつかありますので, ご回答よろしくおねがいします。

(1) 看病に行って家に帰った後に, 身に着けていたもの (かばんなど)や着ていたものは洗濯した方がいいのでしょうか???

(2) 今現在1歳4ヶ月の子供がいるのですが, 私たちを介して感染の危険性があるのでしょうか???

(3) 今後看護を続けていくにあたり, 私自身の妊娠の可能性も考えられますが, 妊婦に対して影響があるのでしょうか???

【回答】
 質問内容からは, おじいさんは慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患の存在が考えられます。恐らく喫煙歴があるようですね。このような状態ですと, 呼吸困難を伴い, 喀痰も見られるでしょう。MRSAが喀痰から検出されたとのこと。長期に入院しているとMRSAの保菌者になります。

 患者さんの喀痰からMRSAが検出されてもさほど危険を感ずることはありません。それは, MRSAは健康者には一般的には感染しないからです。

(1) 身に着けた衣類は通常どおり洗濯し, 太陽光線下で乾燥させれば, それだけでMRSAの感染力は失われます。また, 熱湯に5〜6分浸けるだけでも同様です。カバンの消毒は不要です。MRSAは主にヒトの手を介して伝播しますので, 患者さんの看病にあたっては手洗いを励行し, 帰宅する前には特にMRSAが手についていますので, 必ず手洗いをして下さい。

(2) 子供さんの感染については, さほど心配することはありません。

(3) 妊娠に影響はありません。むしろ看護による疲労の方が心配です。

[追加説明] 患者さんの喀痰からMRSAが検出されるような場合には, 身体や衣類がMRSAで汚染されています。そのため, 患者に触れた場合には手が汚染されたと考えるべきです。手洗いが基本的な感染防御法といえるでしょう。

(近畿大学・古田 格)


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