07/01/24
■ “ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地”について
【質問】
 化粧品などの微生物検査を担当しているものです。

“ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地”について教えてください。弊社の保存菌株 (Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275) をNAC寒天培地で確認後, 分離培養したものをこの培地に塗抹し, 30℃で72時間培養しましたが, 平板培地を横から見るとわずかに青色になるものの,「日本薬局方微生物試験法の手引き」のカラーページにあるような顕著な青色蛍光を発生するコロニーは生えてきません。どこに問題があるのか教えて下さい。

 また, ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地をオートクレーブにかける前に時々激しく振り混ぜながら加熱し, 煮沸する理由も合わせて教えて下さい。使用培地は, ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地「ダイゴ」日局試験用 (日本製薬) で, グリセリンは関東化学製の特級のものを使用しました。

【回答】
 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) はご存じとは思いますが, 蛍光色素 (通称フルオレセイン) および各種の非蛍光色素 (ピオシアニンなど) を産生します。市販培地としてフルオレセイン検出用培地, ピオシアニン検出用培地があります。フルオレセイン検出用培地は, 主に蛍光色素の検出用培地ですので, 黄色の蛍光色素, ピオベルディンを産生し, 紫外線ランプ (波長 360nm) 下でコロニーを観察するときに黄緑色の蛍光を発します。質問の“ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地”は非蛍光色素検出用培地ですので, 青色のピオシアニン, 赤色のピオルビン, 黒褐色のピオメラニンなど多種類の色素の産生が見られます。なお産生する色素の種類, 強度は菌株によって異なりますので, 蛍光色素および非蛍光色素などにより, 多彩なコロニー色調を呈することに留意しておく必要があります。

 ピオシアニン検出用シュードモナス寒天培地の調製の際に, 激しく振り混ぜながら加熱し, 煮沸する理由は, “グリセリンの添加”にあります (フルオレセイン検出用培地も同じです)。グリセリンは比重が高く, 粘性があるため, 下に沈みます。そのままオートクレーブ滅菌すると, 焦げ付いたり突沸する恐れがあるため, より均一に懸濁溶解させるために振り混ぜます。なお培地の滅菌終了後も, グリセリンは下に沈んでいますので, 泡を立てないように十分混合する必要があります。

(日水製薬・三品 正俊)


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