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【脊椎脊髄解剖】
脊椎は頚椎7個(C1-7)・胸椎12個(T1-12)・腰椎5個(L1-5)・仙骨からなり、骨性要素として、椎体・椎弓・棘突起・横突起・椎間関節があります。椎間に存在する椎間板(繊維輪・髄核)や靭帯(前縦靭帯・後縦靭帯・黄色靭帯・棘間靭帯・棘上靭帯)により連結され脊柱となり運動器として安定した可動性を持ちながら体を支持し,脊柱管内に脊髄を収めて保護しています。脊髄は脊椎管を通り,脊髄下端は脊髄円錐となり,以下は馬尾となります.脊髄から神経根が分かれ,椎間孔をとおり脊柱管から出て,8本の頚神経(C1-8),12本の胸椎神経(T1-12),5本の腰神経(L1-5),5本の仙椎神経(S1-5)となり分布します。

【病態】
加齢による変性が加わり,椎間板ヘルニアや脊椎症性骨棘を生じると脊髄・神経根を圧迫するようになり、靭帯の変性や靭帯骨化症による脊髄圧迫も神経症状を起こしてきます。

【症状】
頚椎病変では頚部痛・項部痛・肩痛・項部筋緊張やしびれ・筋力低下を伴い、頚椎症性脊髄症では障害部位以下の麻痺・知覚障害や痙性歩行障害(下肢のつっぱり),箸使用・書字・ボタン留など際の手指の使いにくさ(巧緻運動障害)・膀胱直腸障害もみられるようになります。

1)頚椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは椎間板の加齢性変性(髄核の水分減少・弾性低下)に荷重負荷など外力が加わることにより,線維輪が破綻して髄核が後方に脊柱管へ膨隆した状態.外側型ヘルニアで神経根が圧迫され、正中型では頚髄が圧迫される.40-50歳代の男性に多く,障害レベルとしてはC5/6を中心に第4〜6頚椎に多い。

2)頚椎症
椎間板の変性を基盤とする椎間板の狭小,椎体縁の骨棘形成になんらかの動的要因が加わることにより,神経根・脊髄が圧迫された状態。頚部伸展位で圧迫が強くなり,異常可動性(ずれ)があるとなお強い。最も動きの多いC5/6を中心に多く,高齢者ではC3/4にも多くなる。

3)後縦靭帯骨化症(OPLL)
無症候性も含めれば,白人に比べ東洋人に多くみられ、原因不明で難病指定です。頚椎に多く、靭帯骨化巣の形状より分節型<連続型<混合型と分けられます。

4)脊柱管狭窄症
先天的要因(椎弓根・椎弓板の発育不良)に靭帯肥厚・椎間板突出などの後天的要因が加わり脊柱管が狭くなり脊髄を圧迫します。

5)環軸椎脱臼
6)キアリ奇形・脊髄空洞症
7)脊髄腫瘍
8)腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄・腰椎すべり症


【診断】
神経学的所見に加えて、頚椎X線検査・ CTにて骨棘・靭帯骨化巣・脊椎配列異常・椎間孔狭小・脊柱管の形状などを観察し,前後屈像で異常可動性・不安定性の有無を観察し、頚椎MRIにて椎間板ヘルニアなどの状態や硬膜嚢・神経根・脊髄など神経組織の圧迫や脊髄内病変などを観察します。

【治療】
1.保存的治療
神経根症による痛み・しびれや軽度の脊髄症では,保存的治療が第一選択で,症状の改善を期待します。頚部の過伸展や転倒などにより急速に悪化することもあるので注意を要します。
薬物療法として鎮痛剤・鎮痙剤・安定剤・ステロイド・シップ・神経ブロックなどを行い、頚部安静・ネックカラーや理学療法:温熱・低周波などもあります。

2.手術治療
保存的治療で改善不良や神経症状悪化時や運動知覚障害のつよい症例で症状の改善を期待して手術治療を検討します。
神経組織の圧迫に対して除圧(椎間板ヘルニア摘出・骨棘削除・靭帯削除・椎弓切除・椎弓形成)し,ずれに対しては整復,不安定に対しては脊椎固定(前方椎間固定・後方固定)を行ないます.手術法は病巣レベル・病態より除圧範囲および固定の必要性などの判断により個々の症例で前方手術・後方手術それぞれの利点・欠点を検討します。

1)頚椎前方除圧固定術
適応:頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症・後縦靭帯骨化症などの前方からの圧迫病変に対してはまず前方除圧を検討し、異常可動性などの動的要因に対して椎間固定を行なう。
頚椎前方よりアプローチして手術用顕微鏡下に椎間板摘出・骨棘削除・後縦靭帯骨化巣削除で圧迫因子を除去することで脊髄・神経根を除圧して神経機能の回復をうながす。除圧後の椎間固定には自家腸骨・チタンケージ・セラミックスペーサーなどを用います。椎体置換などの際に前方プレートによる脊椎固定もある。



2)頚椎後方除圧(固定)
適応:黄色靭帯肥厚などの後方圧迫要素が主因である時や脊柱管狭窄を伴う場合や3椎間以上の多椎間病巣の場合に頚椎後方除圧を選択するが、脊椎後彎例では後方除圧効果は不良で不向きである。
頭蓋頸椎移行部や上位頸椎の病変は後方からの除圧・固定を行なう。
伏臥位で頚椎後方より椎弓切除・椎弓形成にて脊柱管を拡大し,黄色靭帯の肥厚部を切除して脊髄を後方に除圧する。椎弓形成術ではセラミックスペーサーを使用します。不安定性を伴う場合はスクリュー・ロッド・プレート・ワイアーを用いて,椎弓根スクリュー・外側塊スクリュー・椎間関節貫通スクリュー・ワイヤリングなどの脊椎固定を加えます。




3)頚椎前方後方除圧固定
適応:リウマチ・脳性麻痺・骨破壊性脊椎腫瘍などで前方・後方より1期・2期的な除圧を要する場合。



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