専攻医を目指す方へ

「小児科」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。学生の皆さんに尋ねると、「子どもはかわいい」、「未来ある子どもたちを救う仕事に憧れる」といったポジティブな意見が多く聞かれます。しかし一方で、「責任が大きすぎる」や「全分野の医学を学ぶのは大変そう」という声もよく耳にします。これらは現実的な不安ですが、同時に小児科のやりがいを深く理解するきっかけにもなります。
近年、小児医療の現場は大きな変革を迎えています。ワクチンの普及により、かつて入院治療が必要だった感染症の症例は大幅に減少しました。また、少子化の影響も無視できません。2016年に出生数が初めて100万人を割り、2024年には70万人を割り込むと予想されています。こうした変化から、小児科医の役割は減少してしまうのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、実際には小児科医が果たすべき役割はますます重要になっています。医療は日々進歩しており、これまで救命が難しかった子どもたちに対しても、新しい治療法が次々と開発されています。また、2021年に施行された医療的ケア児支援法により、日常的に医療的ケアを必要とする子どもたちへの支援が法的に整備されました。小児科医は、こうした子どもたちとその家族の急性・慢性のニーズに応える役割を担い、社会資源を活用して生活の質を向上させる手助けをしています。
さらに、コロナ禍を通じて子どもの貧困問題も顕在化しました。小児科医は多職種と連携し、貧困がもたらす問題に立ち向かい、子どもとその家族を支援していく必要があります。これにより、小児科医の役割がなくなるどころか、今後ますます多様な領域での活躍が求められています。
当院では、血液・悪性腫瘍、内分泌・代謝、神経、循環器、腎臓、アレルギー、新生児、といった小児科全般の診療と研究を行っており、小児高度外科医療センターも設置されています。このセンターでは、出生直後の新生児から手術が行われ、胎児診断、外科治療、内科治療、さらに長期フォローアップまで、すべてを一つの施設で完結できる体制が整っています。このような環境で、小児科医は必要とする子どもたちに寄り添い、きめ細やかなケアを提供することが可能です。
また、金沢医科大学は私立の大学であるため、医師としての専門性を磨きつつ、地元に戻り地域医療に貢献する若手医師も多くいます。当医局は、小児科医としての高い専門性を身に付けたい方にとって理想的な環境です。大学病院では三次医療機関として重症患者から一般診療まで幅広い症例に対応し、関連病院では地域の医師と連携しながら地域医療にも貢献しています。将来、開業医を目指す方にも、多彩な経験を積むことができる環境が整っています。
ぜひ、一度見学にいらしてください。私たちの診療を実際にご覧いただき、直接お話しすることで、小児科医としての未来を描いていただけることを願っています。
子どもたちは本当にかわいらしい存在です。彼ら/彼女らの笑顔に触れるだけで、自然と元気が湧いてきます。私たちと一緒に、子どもたちが健やかに成長できる環境を育んでいきませんか?