2000年12月の日記;世紀末の末

2000.12.1.(金)
 来週分の指示だし。
 車で一家して上越へ。

2000.12.2.(土)
 実家の診療。朝は大雨だったので、今日は少ないかなと思っていたら結構繁盛。いつの間にか、晴天になっていた。
 父との将棋は1:1。
 夕方まで診療後、車で金沢へ。この2週間で何往復しただろうか。
 黒猫リッツの具合を心配していたのだが、すっかり元気になっていて食欲も旺盛。

2000.12.3.(日)
 医科大の日当直。
 溜まっていたデジカメ撮影画像の処理をするだけで、一日は終わる。
 有意義なような、そうでないような一日。

2000.12.4.(月)
 また医療事故が報道された。しかも比較的近くの病院である。医師のコンピューター入力ミスで、サクシゾンがサクシンと入力され投与されてしまった。TVで見る限り当院のオーダーリング・システムと同一のようだ。私自身もサクシゾンを入力する際にすぐ近くにサクシンがあって、嫌だなあと思った事があり、まさしくそれが起こってしまった。入力ミスをした医師や、見過ごしてそのまま投与してしまった看護婦の責任もあるとは思うが、サクシンなど殆ど手術室でしか使用されない薬剤が他の薬剤と並列で表示され、その指示に何も警告の出ないこのシステム自体の欠陥ではないだろうか。
 日当直明けで、朝方に呼ばれて睡眠不足だったので早く帰って寝たかったが、夕方より医療安全対策委員会主催の安全管理の体制確保のための職員研修会。朝のニュースからタイムリーな企画のせいか珍しく多数の参加者あり。医療訴訟を多く手がけている弁護士の平沼直人氏の講演は、大変ためになった。医療というのは本来素晴しい仕事であるはずなのに、医事紛争の多発・激増の結果、萎縮医療(消極医療)となってしまう、これで良いのか?というお話し。医療事故を防止し、医事紛争を防止するためにはどうすれば良いのか。

2000.12.5.(火)
 先々週、先週と父の病気によりお休みしてしまったため久しぶりの浜野病院。ご迷惑をおかけしました。
 医科大に戻ってから、来年4月の日本血液学会の発表演題の抄録書き→インターネットで申し込み。いつもながら、締め切りギリギリに間に合わせる。
 また当直だが、レセプト書きで時間はあっという間に過ぎていく。
 先日の日当直の時もMOディスクをドライバーに入れても認識されないというトラブルあり。ところが、日中にコンピューター会社の人に見てもらった時は全く異常無し。ところが本日の当直でMOがまた認識されなくなってしまった。MOドライバーが時間外労働を拒否しているのであろうか。まあ、何と人間的なコンピューターなんでしょう! また明日の昼に試してみよう。

2000.12.6.(水)
 今回は実際にMOドライバーが故障していたようである。早く直してください→そろそろ買い換えたらどうですかとの事。………。
 久しぶりの医科大での外来は4時に終わり、病棟業務を少しだけやってさっさと帰宅。当直の谷間は早く帰るに限る。それにしても当直が多すぎるので、QOLが低下している。当直を半分に減らす裏技を検討中!

2000.12.7.(木)
 朝のカウント・ダウン!で魚座は最下位の12番。別にいいもんね〜!!という始まりの一日は、結局のところ凹む事の多い一日。こんな日もあるさ。また、いつか素敵な朝が訪れるのさ〜。Positive !  Positive !
 ビビビ!も破綻したらしいが、まあ人ごと。勝手にしてください。
 美白!も病気には勝てなかったご様子。わが家でも、「オバケだ〜!」と妙な人気のあった、その子さんですが、ご冥福をお祈り申し上げます。やっぱ、お仕事無理しすぎたんと違う? 教訓、無理しすぎない事。
 クリスマス・シーズン。毎年の定番は、SLY & ROBBIE presents「TAXI X'mas」(SHOBI)。レゲェの最強のリズム・セクション;スライ・ダンバーとロビー・シェイクスピアのクリスマス・ソングのメドレー。やっぱり最強無敵! バネが違う。マライア・キャリーなんかとは格が違うのだ。

2000.12.8.(金)
 最近は当直以外の日はできるだけ早く帰宅する事を心がけている。ので、そうしたらポケペル。受け持ち患者さんが突如重症になってしまい、結局夜中まで病院。
 残念ながら患者さんは永眠されました。ご冥福をお祈り申し上げます。

2000.12.9.(土)
 朝から早起きして、ミハの幼稚園の学習発表会。ここは所謂お勉強系の幼稚園なので、歌や楽器演奏だけではない。年長さんともなると、英会話の掛け合いや、論語や奥の細道などの暗唱を園児達が行なうのであった。家で練習しているときも、我が娘ながら「こいつ何者?〜」という状態だったのだが、園児達が口を揃えて「論語、師いわく、………とすべし。……」などと暗唱しているのを見ると、幼児教育とは??、どこまで必要なのか?、大人になった時にどこまで差が出るのか?等など考えさせられてしまうのでした。ま、廻りの皆がやっているので、ミハ自身特に苦にも思わず楽しそうにやっているので、悪いことではないのだが。
 終わってから車で某スーパーに行ってから、あれっ!、財布が無い…!。実は今年の始めにも財布を無くして、現金は無くなり、クレジット・カード、運転免許書など再発行してもらうのに大苦労したのでした。またか!、という感じで妻にも冷たい目で見られ、大ピンチ。結局、発表会のあった野々市文化会館フォルテに落し物として届けられていました。届けてくださった方、どうもありがとうございます。

2000.12.10.(日)
 一家でボーリング。私はひどいスコア。妻は得意顔。ミハもスペアー一つとってルンルン。が、夕方以後ミハの調子悪くなる、「寒い」と言う。また人ゴミで風邪を拾ったか?

2000.12.11.(月)
 朝寝坊したせいでミハを車で幼稚園に送るハメに。
 日中は何をして一日潰れたか、あまり覚えていない。
 ミハは朝は比較的調子良さそうだったのに、幼稚園から帰って咳、嘔吐、発熱でダウン。早く良くなってね。
 一方、モモは絶好調。あっという間に、つかまり立ち→つたい歩き。

2000.12.12.(火)
 寒いと思ったら、遂に初雪。ノーマルタイヤではやはり怖い、交差点の大分手前でブレーキをかけたのに、スベってなかなか止まれない、危険危険。
 浜野病院→タイヤ交換→散髪→医科大。

2000.12.13.(水)
 外来は予約がたくさん有って心配していた割には、珍しく早く2時半に終了。新患が少なかったせいであろう。久しぶりに、入院患者の主治医になる。ムンテラに時間を費やす。

2000.12.14.(木)
何をやっていたかなあ?

2000.12.15.(金)
 朝5時起き。金沢発6:10(はくたか1)→8:41越後湯沢8:49(Maxあさひ2)→9:55 東京。山の手線で上野へ、常磐線で柏へ、西口よりバスで国立がんサンター東病院へ。電車内で年賀状を書こうと思ったが、揺れがひどくて1枚で断念。更に、お茶の缶がひっくり返ってしまい大惨事に。いつものように、ビールを飲みながらの読書にしておけば良かったのだ。
 吉村達也著「新装版-南太平洋殺人事件」(角川文庫)。烏丸ひろみシリーズのごく初期の作品。舞台はタヒチと八丈島なので、旅行ガイド的な読み物としても良い。トリックはまあ普通、犯人もさほど以外ではないが、初期の作品のリメイクで始めて読んだので最近の著作との作風の変化が楽しめる。
 国立がんサンター東病院で、本年度2回目の「消化管悪性リンパ腫に対する非外科的治療の適応と有効性の評価に関する研究班」班会議。内視鏡所見の検討が多いので、残念ながらやや退屈。
 帰りは、予定より早い電車に変更し、東京→米原→金沢としたが、23時頃やっと家にたどりつく。
 宮部みゆき著「夢にも思わない」(中公文庫)。「今夜は眠れない」の続編的作品だが、前作ほどの爽やかさには欠ける。ハッピーエンドが続くことをあえて避けたのかもしれないが、切ない気持ちになる終わり方。

2000.12.16.(土)
 和倉温泉の多田屋で、金沢医科大学血免内科の忘年会。早々と眠くなって、おそらく12時頃にはダウン(何時に寝てしまったか記憶になし)。体力の衰えを感じるが、年のせいか、疲れがたまっているのだろうか?

2000.12.17.(日)
 温泉に泊まっていつも思うことは、もう少しゆっくり寝かせてくれれば良いのに、ということ。とはいえ、自分自身は体内時計で朝6時には目が覚めてしまい、朝風呂。
 バスで帰宅しても午前11時だから、これからが家族サービスの時間。
 ミハと、ディズニー映画「ダイナソー」。ストーリーは恐竜同士の友情?物でさほど感動もしないが、全遍のコンピューター・グラフィックスが見事な迫力で、恐竜が本当に生きて動いて見える。子供の頃から恐竜が大好きで、しかし恐竜展のような催し物は大抵大したことなくてその都度ガッカリしていただけに、個人的には大満足。ミハも恐がってくっついて来たが、でも面白かったらしい。
 その後は少し買い物;内履きのシューズ、ミハの学習机(出費!!)。

2000.12.18.(月)
 教授回診。ムンテラ。あと…、忘れた。

2000.12.19.(火)
 浜野病院。朝からすごい風が吹き荒れる一日。
 帰りに少し、ゴルフの打ちっぱなし。非常に久しぶりで、方向性滅茶苦茶だが、強い風のせいにしておく。その後、医科大へ。
 年賀状をやっと書く。

2000.12.20.(水)
 外来は4時までかかる。待ち時間が長いと怒り出す患者さん続出。待たされて怒る気持ちはとっても良く分かるので、なんとかしたいのだけれど、コンピューターの処理速度が律速となってこれ以上早くは困難。申し訳ありませんが…。
 珍しく男性の入院が3人もあって、病棟業務も大混乱。一人くらいは主治医もできるけど、3人一度は無理なので皆様に分担していただく。しばらく男性の入院患者さんが極端に少なくて、病棟に空床が目だっていたのだが、年末に向けて忙しくなるところが辛い。
 モモは落ち着きがなくて、寝なくてすぐに大泣きして困ったもので、妻は疲労困憊。
 ミハの足に小さな皮疹多発し痒いと言う。口腔内にも小さなアフタ多発し、しみると言う。どうやら手足口病のようだが、自然に直るをの待つしかない。

2000.12.21.(木)
 医局会。新患入院一人あり主治医になる。
 夕方はさっさと帰宅。
 冬至なので、カボチャを食し、柚風呂に入る。

2000.12.22.(金)
 廃品回収の日。不要になった本や雑誌を大量に捨てる。本も雑誌もセンチメンタル・バリアーがあってなかなか捨てる事に踏み切れなかったのだが、狭いわが家にミハの勉強机を置くスペースを作らねばならず、泣く泣く捨てる事に同意する。
 病棟業務だけで一日終わる。年末年始の分の指示も早めに出す必要があったからではあるが、仕事の能率が今一。
 外は久しぶりの晴天である、勿体ない。
 連休前は、今日もさっさと帰ろう。

2000.12.23.(土)
 せっかくの晴天の休日なのに、13時より町内の集会場で第一回この近辺の水害対策協議会(勝手に命名しました)。
住民側「先日の大雨で床下浸水になる家がでているのに、最近下の県道が嵩上げしておりそこが堤防の役目をして、我々の家屋がますますすり鉢の底にある状態になっている。次に大雨がふれば更なる被害も予想それるので、それまでになんとかして欲しい。」
役場側「最近は一度にまとまって雨が降る傾向があり、更にコンクリートやアスファルトで舗装されたため地面に染み込む水もヘリ、余計に洪水が起きやすくなっている。予算がつかないのでなかなか対応できない。金沢では…、内灘の他の地域では…、…」
とにかく、こちらの質問や意見に対して、総論的な事を説明するだけで、具体的な対策が見えてこない。内灘町の排水は町の管轄、県道の工事は県の管轄で、完全な縦割行政で双方の話し合いも無しに別々に仕事を発注するからいけないのである。県道の整備をもう少し後に延期してもらうとか、県道に沿った配水管を広げるということは、とっても難しい事らしい。全く、お役所仕事ってだめですね〜。
 イブイブだが、明日当直なので、ささやかながら家族でクリスマスの集い。別にクリスチャンではないので、この行事の美味しいとこだけいただく。

2000.12.24.(日)
 朝からもの凄い雨風。北陸ではこんな日、子供をどこに連れて行って発散させるか悩ましい。結局また、ボーリング。今回は比較的調子良かった。
 留学中お世話になったボスにクリスマス・カードを送るのを忘れていたので、クリスマスE-mailでおゆるしいただく。

2000.12.25.(月)
 朝から、右臀部と左大腿部に筋肉痛あり。どうやらボーリングの後遺症らしい。
 ネプ投げ封印スペシャルを見ていたが眠くなってダウン。

2000.12.26.(火)
 雪!風!気温3℃の日。浜野病院に行く道のり、久々の雪道運転で、神経を摩り減らす。自分は安全運転していても、雪道の怖さを知らない困ったちゃん達が、飛ばして追い抜いていく。

2000.12.27.(水)
 外来は予約が少なく早く終わることを期待していたが、そうは問屋がおろさなかった。年末だけあって、普段こないような量の新患/紹介/対診が次々。しかし、年末年始は検査もなかなかお休みで出来ないので苦労する。
 妹尾河童著「少年H」(上・下)(新潮文庫)。Hと呼ばれた妹尾少年の戦時中の体験を綴った私小説的作品。全体から漂うのは戦争の悲惨さであるが、それでも暗くならないのは当時の気持ちをそのまま少年の言葉として書いているからであろう。戦争が終わった時に妹尾少年がいろんな人達に聞いてみたいと思った事が5つあったそうである。「あの放送(玉音放送)で戦争に負けたことがすぐにわかったかどうか? この戦争は勝つと思っていたか、負けると思っていたか? もし負けると思ったなら、それはいつごろからか? この戦争の責任者は天皇陛下だと思うか、思わないか? 天皇陛下をずっと神様だと信じていたかどうか?」 この5つの質問をそのまま、戦時中を生き抜いたと思われる年老いた国会議員の皆様に聞いてみたい気がする。
ところで20世紀は戦争の世紀だったらしい。21世紀はどうなるのだろうか?

2000.12.28.(木)
 御用納め。本日で平日業務はおしまいである。昼は医局で寿司をとる。
 医局にBSデジタル・チューナー設置(祝!)。BSデジタルの一つの特徴であるインタラクティブな機能を使うのはまだまだとしても、単純にチャンネル数が増えた事が嬉しい。また画像も非常に美しく、これで当直も楽しくなるであろう、きっと。

2000.12.29.(金)
 年末年始の買いだし。大掃除。
 毎年思うのだけれど、年末年始のTVの特別番組というのはどうしてこんなにつまらないのだろうか。どのチャンネルも同じ様な特別番組で、これなら通常の番組を普通に流した方がましなような気がするのだが。

2000.12.30.(土)
 20世紀最後の日当直。入院患者さんも大半が外泊している。
 WOWWOWでペニー・マーシャル監督「レナードの朝」。脳炎?の患者役をロバート・デニーロが好演。不随意運動をまねるというのはかなり難しいであろう。30年の昏睡から醒めた時のかすかな笑顔が素晴しい。
 NHKで名探偵ポワロ・スペシャル「アクロイド殺人事件」。この叙述トリックの名作をどうやって映像化したのかに興味があったのだが、これではちょっと…。
 医局の机の上の掃除だけで、かなりの時間を費やす。いらない物が多すぎる。なかなか思いきって捨てれない性格なので困っている。普段は、明日出来ることは今日しない事を座右の名にしている私ですら、掃除をしてしまう、来る新世紀とはかくも恐るべし。

2000.12.31.(日)
 さあ20世紀はもう本日をもっておしまい。過去の話だ。
 一家で、車で上越の実家へ。
 妹一家と弟も実家へ来ていて、久しぶりに兄弟3人が揃う。
 父との将棋は3:0で圧勝。
 世紀末の末=新世紀の始まりを体験しようかとも思ったが、睡魔には勝てず、まあいいか。