2000年9月の日記;秋の学会シーズン

2000.9.1.(金)
ミハの幼稚園がまた始まって、朝7時半のお迎えバスに送り届ける、日課が復活。
来週分の指示出しと、学生の相手で時間はあっというまになくなる。今週の学生達はよく勉強していて、相手をしていても楽しい。夕方から、新潟の実家へ。

2000.9.2.(土)
新潟の実家で診療。比較的、暇な外来日。
久しぶりに、雨が降る。涼しくなるといいのだが。
弟も、実家に帰っていて久しぶりに話をする。相変わらず、マニアック(お互い様か?)なオーケストラ活動をしている模様。
小学1年生の姪から、ポストペットのことを電話で聞き、試しに使ってみて少しはまる。なかなか面白い。兎のミミはキャンディーが好物の様子。
夕方の電車で、内灘へ帰る。

2000.9.3.(日)
朝から、ミハとルネスへ。一緒にウオータースライダーをするも、摩擦熱で尻が熱く、ぶんぶく茶釜状態。ミハは満足したか?
モモはお座りの特訓中。もう少し。

2000.9.4.(月)
芦辺拓著「和時計の館の殺人」(カッパノベルズ)
。人間消失より魅力的と二階堂黎人氏に語らしめたテーマ、大富豪の死と遺産相続問題から生ずる連続殺人事件の新たな傑作とのこと。確かに、現在の定時法と、和時計の示す江戸時代の日本人における季節とともに伸び縮みする時間との差に焦点を置いたストーリーは、今までになかった斬新なアイデアであはり面白かったが、しかし和時計の時間と現在の定時法の間に格差が生まれる事は、途中から知らされてしまった事実であり、これをトリックの主題に持ってくるのはどうかという気もする。まあ、このタイトルなので仕方ないか。

2000.9.5.(火)
実はやらなければならないことが、山ほどある。眼前に迫った学会発表の準備がその最たるものだし、溜まった入院患者のサマリー書き、伸び伸びになっている論文投稿など。さて、どれから手をつけようか、と思案していたところ、8月分のレセプト書きが明日の締切で廻ってきて結局それだけで時間が過ぎ去る。「日本VSモロッコのサッカー」引き続き「ナースのお仕事3」を見てしまったせいでもあるが。明日からがんばろうと、いつもの誓い。

2000.9.6.(水)
朝から医局のTVが壊れて、音が出なくなる。82年のTVらしい。私が、この大学に来る以前からある骨董品ということ。でも、お宝としての価値はまずないので、早く買い換えたい。医局会に提案することにする。
外来の日。3時頃終了。
「ここが変だよ日本人」、日本人の若者のあまりの学力の低さ、常識の無さに愕然とする。そのうえ、ゆとり教育など行なって大丈夫なのだろうか?

2000.9.7.(木)
今日もまた、朝から肉体労働的お仕事。本日は、私はただ見ていただけで、楽をさせていただいた。

2000.9.8.(金)
学会準備。デジカメで、XーP画像を取り込もうと苦労するが、今一の出来映え。
当直。当直するとなぜか、夜更かししてしまう。

2000.9.9.(土)
2002年5月に控えた、国際シェーグレン症候群シンポジウムの募金趣意書、収支概要など作るだけで一日おしまい。
明日また、日当直なのでこんな日は早く帰って子供の遊び相手をと思って、早く帰っても、家族はお友達のお家に遊びに行っていた。ので、こんな日は休養。
夕方から久しぶりの大雨。やっぱ、北陸の雨はこうでなくちゃ。
佐藤雅彦/竹中平蔵「経済ってそういうことだったのか会議」(日本経済新聞社)。普段、経済学のケの字も知らない、私の様な人間にとって、とっても分かりやすい入門用の対談集。なかでも、税金というのはヤクザのみかじめ料と基本的には同じであるとか、サラリーマンのうち30%は所得税を1円も払っていない等、税金の項は勉強になった。早く、この不公平税制をなんとかして欲しい。
この本と、細野真宏著「経済のニュースが面白いほどわかる本-日本経済編」(中経出版)の2冊を読んでおけば、高校時代以来久しく勉強してこなかった、経済学もなんとなく分かった気になれる。「経済のニュースが面白いほどわかる本」は早く、’世界経済編’を出して欲しい。
10時半頃には眠くなって、就寝。

2000.9.10.(日)
朝から(もしかして一晩中降っていたのか?)またまた大雨。わが家はは河北潟に面するかなり低い位置にあって、大雨が降ると家の前が大洪水になってしまう。妻は少し高台まで車を避難させに行った。私は本日も日当直なので、車の避難もかねて早々と病院へ。
幸い病棟が落ち着いていた様なので、一日中学会準備(顕微鏡画像取り込みとスライド作成)。コンピューターに一日中向かっているせいか、目がしょぼしょぼ。

2000.9.11.(月)
朝からBSでAll Japan VS NBA All Starsの試合を見てしまいハマる。49対109で、まあ結果は明らか。しかし、100点とられたのは仕方ないが、50点はとってほしかった。外からのシュート得点率が悪すぎ。

2000.9.12.(火)
ニュースでは東海地方は大雨でえらいことになっているようだ。昨日の新聞では内灘でも8戸が床下浸水だったらしいので、わが家はかろうじてセーフだったとはいえ、人事とは思えない。
学会準備は遅々として進まない。しかし、初代K教授の遺産のスライドの中から、今回の発表症例のものを発掘できたので、仕事をした気になる。
当直。

2000.9.13.(水)
当直明けの朝から救急外来に呼ばれ、なんとなくあわただしい一日の予感。予感は適中し、外来は休む間もなくPM4時半まで続けるはめになった。久しぶりに晴れたので、”病院にでも行こうか”という人が多かったのであろうか。晴れたら遊びに行けばいいのに。外来が終わって、始めてUFOカレー味というのを食す。……、こんな味かという感じ。次からは普通のUFOにしよう。
帰り道で見たのは、名月であった。

2000.9.14.(木)
学会のためのスライド作成と撮影。うまくできている事を祈る。
サッカー日本vs南アがTVでついていると、つい意識がそちらにいってしまう。2:1で勝ってほっとする。
血免内科OBのDr.Aに以前の学会のスライドを依頼し送っていただいたが、一緒に入っていた手紙には「9.16.よりシドニーに行ってきます」とある。相変わらず、やるなあ〜。

2000.9.15.(金)
敬老の日らしい。朝、少しだけ病院へ行って回診。その後は、新潟へ行く日なので、家族で富山のファミリーパークへ。ここは、キリンやライオン、トラなどの動物も間近にみれて、晴れた日は気持ちの良い公園である。下手な動物園より良い。
その後、新潟の実家へ。父親と将棋。4戦やって0勝4負と完敗。酔っ払っていたせいかな? 敬老の日だから良いことにしよう。

2000.9.16.(土)
実家の外来診療。
終わってから、金沢へ戻る。ぐったり。
カレンダーを見ていた妻が、9.14.が結婚記念日で私も妻も共に忘れていた事に気付く。9年目にもなると、こんなものか?

2000.9.17.(日)
朝からミハはプールへ行きたがり、妻はピクニックにでも行きたい様子。何やら険悪なムード。折衷案で、まず家族で金沢競馬場の真ん中の公園へ。そこで少し遊んで、昼食後にミハと町民プールへ。ぐったり。
サッカー日本vsスロバキア。2:1で勝ったのは良いが中田2枚目のイエローカードで、次のブラジル戦出場できなくなった。大丈夫であろうか?

2000.9.18.(月)
教授回診。その後、学会予行。まだまだやらなければならない事が山ほどある。気持ちだけあせる。
家に帰ると、かねてより念願だったMDプレーヤーが届いていた。しかし、まだMDがないので使いえない。明日も当直で無理だし、いつ使える事やら。
男子体操団体は4位でメダルならず。惜しい。しかし、体操というのはいつ見ても人間技とは思えない。
オリンピックをやっていると、ついTVを見てしまい困る。まあ、時差の殆どないオーストラリアなので、夜中まで見てしまって寝不足にならないのが救いではある。

2000.9.19.(火)
散髪。その後、当直。最後まで悪あがきのスライド作成。今回の日本シェーグレン研究会は、「酵素免疫測定法(ELISA)を用いた改良型抗SS-A抗体および抗SS-B抗体測定試薬の評価」と「T細胞性非ホジキンリンパ腫を合併したシェーグレン症候群の3症例」というダブルヘッダーなので、なかなか終が見えてこない。
と言いつつも「ナースのお仕事3」最終回なので見てしまう。今まで、医学的な場面で比較的しっかりチェックがなされていたように思っていたが、最後にボロが出て人工呼吸の仕方や心臓マッサージの仕方がなっていなかった。それはともかく、なるほど、こういう終りかたか。これでは、「ナースのお仕事4」は無さそう。
鈴木光司著「ループ」(角川ホラー文庫)。現実世界が、実は誰か(神)の作った仮想空間であったというプロット。「リング」「らせん」に続く3部作の解決編。やっと文庫版になったので、一気に読む(こんな事やっている場合ではないのだが)。TVや映画の「リング」シリーズはなんだかおどろおどろしくて全く見る気も起こらないが、原作は傑作。どうして映像化するとあんなに安っぽいホラーになってしまうのだろうか、原作はこんなにクールなのに。

2000.9.20.(水)
外来の日。今日は予約人数も少ないので、早めに切り上げて研究会準備にとりかかれるはずだった。しかし、予想は大幅にはずれ外来はなかなか終わらず、結局5時までかかる。それから病棟回診をして、ようやく研究会準備に入る。もう疲れきっていたが、やらねばならない。日本VSブラジルのサッカーは0:1で敗れるも、日本決勝トーナメント出場おめでとう!…、などと言っている場合ではない。

2000.9.21.(木)
朝から研究会準備のラストスパート。あせるだけで、何か空回りする。ギリギリにスライドを仕上げて、某MRさんに出来上がりを獲りに行っていただく算段とした。何しろ飛行機に間に合わせるために、午後2時半には出発の予定である。そうしながらも、留守中の入院患者さんの指示や申し送り、その他もろもろを済ませなければならない。しかし、途中でスライドの大きな間違いに気付く。もう間に合わない。今回は、口頭で済ます事にする。申し送りも書く時間がなくなり、一言口頭で「よろしく」ですまさせていただいた。皆さん申し訳ありません。某 MRさんに届けていただいたスライドのなかの使えるものだけを組み込んで、やっと今回の発表準備終了とする。
飛行機に乗り込んで、ようやく何とか間に合ったという実感。しかし、飛行機はかなり揺れて、本を読んでいたが気持ちが悪くなる。長崎のホテルに着いたのは、午後8時半を廻っていた。

2000.9.22.(金)
第10回日本シェーグレン研究会、初日。朝から大雨。13:05からのセッションで、「酵素免疫測定法(ELISA)を用いた改良型抗SS-A抗体および抗SS-B抗体測定試薬の評価」の発表。予想通りDr.坪田から、”この変更を行なう意味があるのですか?”という質問。予定通りに返答する。
懇親会は二見という高級そうな料亭。始めに、エビの踊り食いが出てきて、気持ちの良いものではない、美味しかったけど。特別講演のDr.Utzにはこういうのは野蛮だと思われていないだろうか。その後は、豪華な魚介類の料理が続き、芸者さんによる「長崎ぶらぶら節」。お金かかっているなあ。
懇親会の途中で抜け出して、はるばる(?)長崎まで来てくれた、竹ちゃん&最勝寺氏と合流。例によって竹ちゃんと私は飲みすぎたか。最勝寺氏はほとんど飲めないとマイペース。最後に、長崎まできたからどうしても食べたかった、チャンポンと皿うどん。食べすぎ!帰りのタクシーを拾う間に大雨で、びしょ濡れ。

2000.9.23.(土)
第10回日本シェーグレン研究会、2日目。なんとか起きて、研究会場へ。10:30からのセッションで、「T細胞性非ホジキンリンパ腫を合併したシェーグレン症候群の3症例」。これも、予想範囲内の質問で、なんとか終了。
終わって、会場の外で竹ちゃんを発見。車で来ているというので、以後の研究会は少しサボって観光へ。まず、中華街で昼食。”お勧めは?”と聞くと、”チャンポンとトンポーロー”という。チャンポンて中華料理だっけ?と思いながら、”じゃあ、チャンポンとトンポーロー”と注文。”チャンポンは普通と上と特上があります””どう違うの?””特上は入っている具も高級になるし、スープも違います””じゃあ特上”というわけで、フカヒレなど具沢山のチャンポンは美味しかったけど、食べても食べても減らない。また食べすぎ。
車で、オランダ坂→グラバー園。少々ゆっくりしすぎて、帰りの電車にギリギリにセーフ。飛行機のなかで、今回の発表に際して教授よりお貸し頂いた、久繁哲徳編「臨床判断学-臨床行為の科学的な洗濯と評価-」(篠原出版)を読む。最初は気乗りしなかったが、以外に面白い。「患者の抱えている問題を、患者自身に対して一目でわかるように示す」「患者の価値観を医療の選択に反映する」事を可能にするための優れたテキスト。

2000.9.24.(日)
「ニャンダー仮面」を見るために、ミハを起こしたのだが、本日はオリンピック女子マラソンのためお休み。当然の如く、以下「タイムレンジャー」「仮面ライダークウガ」「おじゃ魔女ドレミ#」までお休みで、私はマラソンを見るも、ミハは不機嫌。高橋尚子選手金メダルおめでとう。この明るいキャラクターが良いですね。
久しぶりに病院へ行って少しだけ回診した後は、アルプラザへお買い物。ゲーセンでヤッターマンのコインゲームで、馬鹿勝ちをしてしまい、終われなくなる。仕方なくコインをパチンコゲームに投入し、やっと終了。

2000.9.25.(月)
一つ終わったと思っても、次の学会の直前。また、ばたばたと準備にとりかかる。
細野真宏+マネー経済プロジェクトチーム編「株・投資信託・外貨預金がわかる基礎の基礎講座」(講談社)。こういう大事な事を分かりやすく書いてある本は滅多にない。難しいことを難しく説明されていたから、今までは勉強する気にもなれなかった。本当に大事なのは、難しいことでも分かりやすくプレゼンテーションする能力である。もう少し検討の上、ミニ株か投資信託でも買ってみようか?
ようやく、MDプレーヤーの使い方が分かり、試しに録音。坂本龍一のピアノソロ曲集をつくる。

2000.9.26.(火)
当直。今度の臨床免疫学会は、またまたダブルヘッダーだが、以前に話した事の焼き直し、なので楽なはずだと思った。しかし、見事に以前作った事を忘れている。
BOYZ II MEN「Nathan Michael Shawn Wanya」(ユニバーサル)。黒人4人のコーラスグループの4作目。古巣モータウンを離れ、プロデューサーもベビーフェイスやジャム&ルイスから離れセルフプロデュースという。大丈夫かなと心配もしたが、全くの杞憂。1曲目からスパニッシュ風なギターが出てきて困惑させられるが、これも奇異を狙ったという感じではなく、見事に取り込んでいる。曲風も様々だが、不思議と統一感もある1枚。

2000.9.27.(水)
外来は3時半に終了。バタバタと明日からの学会準備。

2000.9.28.(木)
朝ほんのちょっとだけ病院に顔を出して、患者さん達の顔を見て…と思ったのが間違いで、いろんな用事が次々出てきて、バタバタして…。
なんとか10時半の小松空港行き高速バスに間にあって、飛行機で東京へ。そのまま学会会場の日本都市センター会館へ。MBLのお偉方と講演会の打ち合わせ。少し休んで、MBL講演会「MESACUP-2 ENAテスト」臨床治験報告;「酵素免疫測定法(ELISA)を用いた改良型抗SS-A抗体および抗SS-B抗体測定試薬の評価」。2週続けて同じ話をする訳だが、聴衆の客層が異なる。
会の終了後は、懇親会→だらだらと飲み会で、教授と1時すぎまで飲んで、タクシーでやっと新宿のホテルへ。

2000.9.29.(金)
学会中日。発表がない日はとても気楽。少しだけ学会に顔を出して、その後は新宿に戻る。タワーレコードに入って、はまってしまい延々と試聴。ミスチルの新譜を買うだけのつもりだったのに、金沢に比べて圧倒的に在庫枚数が多いから、こういうところに来るとついつい長居をしてしまう。
夜は、弟と待ち合わせて飲みに。ドイツ料理の店へ入り、あまり期待していなかったが、ソーセージ等の料理はおいしかった。その後は、兄弟2人でカラオケへ。変な兄弟だろうか?

2000.9.30.(土)
この日はまじめに学会へ。中でも水島先生のAutophagyの話は秀逸。聴衆が少なかったのが残念だが、Necrosis, Apoptosis以外の細胞死のメカニズム。目からうろこ。
自分の発表は、最後のセッションで、いつものシェーグレン症候群関係の学会・研究会の人達しかいないため、割と気楽。「マウスモデルを用いた治療試み;CD40-CD40L相互作用のブロックによる自己免疫病変の抑制」。予想された範囲内の質問。
学会が終わり、余裕をもって午後7時30分発の飛行機に乗れるはずだったが、京急線の電車が丁度に来なく、来たのは急行と言いつつも殆ど各駅停車で、停車時間も妙に長く感じられた。7時10分頃やっと羽田空港につき、おみやげを買う暇もなくそのままチェックインし搭乗。家にたどり着いたのは10時を廻って、どっと疲れた。