メッセージ

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学長メッセージ Message from the President 金沢医科大学 学長 神田 享勉 (第1期生)

良医を育てる心の教育と
レジリエンスで
成長し続ける大学へ

金沢医科大学は、「倫理に徹した人間性豊かな良医の育成」を建学の精神として、1972年に創設されました。初代理事長の益谷秀次先生は、本学の開学にあたって「教育の基本理念は、人間形成と人格の陶冶にあります。本学はこの理念に立脚して倫理観に徹した人間性豊かな良医を育てる」と告辞に述べられました。1期生である私には当時、「良医」とはどのような医師を指すのかが理解できず、「良医とは何か」「人格とは何か」と問い続けてきました。その後、かほく市出身の哲学者である西田幾多郎先生の著書を通して、人格とは他人を思いやる心であると理解しました。益谷先生は、本学で医の道を志す者には、「他人を思いやる心」つまり「患者さんを思いやる心」が大事であり、それができない限りは良医にはなれないとの教えを説かれていたのです。

私たち人間は、さまざまな試練や失敗を乗り越えて生きています。困難を乗り越えた時にこそ、その人の人間性が表れます。益谷先生が人格の陶冶の大切さを説かれたように、本学もこれまで幾多の困難を乗り越えて半世紀の歴史を積み重ねてまいりました。この50年の歩みは、建学の精神に立脚して教職員が一体となって医学教育に情熱を注ぎ、次代の医師の育成にあたった歴史と言えます。

日本海側の私立医科大学ですので、学生募集に苦労した時代もありました。また必ずしもポテンシャルの高い学生ばかりではなかったかもしれません。しかし、強い想いを持って医の道を志す学生に対し、教職員は熱意を持って一人一人の能力を伸ばし、国家試験合格へと導いてきました。その心の底には「良医を育てる大学になる」という並々ならぬ使命感があったのです。開学当初から現在に至るまで本学の伝統となっている指導教員制度は、学生と教職員が日常的に近い距離感で関わり、勉学から学生生活、進路に関する相談を親身にサポートする制度です。教職員は学生とともに同じ時間を過ごし、実に懇切丁寧に指導しています。学生を成長させるためのさまざまな手法を考え、地道に実践してきた伝統が長い時を経ても今なお脈々と受け継がれています。今では本学の面倒見の良さが社会から高く評価され、その成果は志願者数の伸びに顕著に表れています。

近年、全国的に医学部の受験者数が減少傾向にある中で、本学は右肩上がりで志願者が増え続ける特異な大学です。それは、本学がさまざまな困難をたくましく乗り越えてきた結果です。2018年の医学部不正入試問題では本学も指摘を受けましたが、これを機に入試制度を刷新し、2020年から本学卒業生の子女を対象とする「卒業生子女入試」を開始しました。このほか、地域に根付く医師を育成するために地元の高校を対象とする指定校推薦入試も実施しています。あらゆる困難をも学びに変えて、次の時代に向かって回復するレジリエンスが本学の強みではないでしょうか。

近年の研究では、私たちの身体の中にある眠った遺伝子は、外部から刺激を受けることで目覚め、次の世代にもそのDNAが受け継がれることがわかってきました。エピジェネティクスの考え方と同様に、本学の教育においても学生の心を刺激し、遺伝子を目覚めさせるような多様な経験の機会を用意して、良医の心を後世まで伝え続けます。高い資質と倫理観、何よりも患者さんに寄り添うやさしい心を持った医療人を育成する大学として、金沢医科大学はさらなる50年に向かいます。

理事長・病院長からのご挨拶