記事のみ印刷する

【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神病理学 准教授)らの論文"Polygenetic Risk Scores for Major Psychiatric Disorders Among Schizophrenia Patients, Their First-Degree Relatives and Healthy Subjects"がInternational Journal of Neuropsychopharmacology誌に掲載されました

 統合失調症は、幻覚・妄想などの陽性症状、意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状、認知機能障害が認められ、社会機能の低下を生じる精神疾患であり、民族差なく人口の約1%が罹患する「ありふれた」精神疾患である。また、家族集積性があり、遺伝率80%の多因子遺伝を示す精神疾患である。統合失調症患者の非罹患近親者(両親、兄弟姉妹、子供)は、患者の半分の遺伝的リスクを有すると考えられている。統合失調症と他の主要精神疾患の遺伝要因の重複が欧米人において知られている。
 本研究では、日本人統合失調症および非罹患近親者と欧米人主要精神疾患間の民族差を超えた遺伝要因の共通性をポリジェニックリスクスコア(PRS:多遺伝子リスクスコア)解析にて検討した。欧米人精神疾患(統合失調症、双極性障害、うつ病、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症)の全ゲノム関連解析データを、PRSを算出するためDiscoveryサンプルとして利用した。日本人Targetサンプル335例(統合失調症患者、非罹患近親者、健常者)をリクルートしてPRSを算出した。欧米人統合失調症や双極性障害と関連するPRSは、日本人健常者よりも統合失調症患者で高値を示した。さらに、欧米人自閉スペクトラム症に関連するPRSは、日本人健常者や統合失調症と比べて非罹患近親者で低かった。発症年齢が若い統合失調症患者では欧米人自閉スペクトラム症と関連するPRSが高かった。本研究結果は、欧米人統合失調症や双極性障害に起因する遺伝要因は、日本人統合失調症の病態においても寄与していることを示唆している。さらに、非罹患近親者において自閉スペクトラム症に関連する遺伝素因が低いことが、統合失調症発症の予防や予測に有用かもしれないこと示唆している。

詳細はこちら
新着一覧へ