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高齢医学 トホグリフロジンが、高齢2型糖尿病患者の心機能に与える影響 Effects of Tofogliflozin on Cardiac Function in Elderly Patients With Diabetes Mellitus J Clin Med Res. 2020 Mar;12(3):165-171.

 HIMI研究:金沢医科大学氷見市民病院高齢医学科通院中の65歳以上の患者42人(83.0 ± 7.6歳 男/女:18/24人)を対象にSGLT2阻害薬tofogliflozin 20mgを1日1回投与し投与前、1カ月後に心機能を中心にどのような変化が生じるか観察研究を行いました。SGLT2阻害薬による心不全発生抑制のメカニズムに関しては、様々な仮説が提唱されています。大規模臨床試験であるEMPAREG、CANVAS、DECLARE試験ではKaplan-Meier plotが、SGLT2阻害薬投与後すぐに心不全、心血管イベントの抑制を開始することが示されています。SGLT2阻害薬を投与した心機能に関する既知の報告では、3カ月未満、高齢者、性別を研究対象とした研究は存在しませんでした。拡張障害は、弁膜症の存在や微小血管の障害や酸化ストレスなどにより起こると言われています。また、疫学的に加齢とともに拡張障害は増加し、エストロゲンや心外膜脂肪のため男性より女性に多いことも知られています。そこで我々は、拡張障害の良い指標であるE/e’を用いてtwo-factors mixed effect modelを作成しました。性差、年齢(65歳以上80歳未満、80歳以上)で投与1カ月後E/e’の変化に差が出るか否かを解析しました。結果として、投与1か月後に腎機能、電解質などを増悪させることなく性別、年齢に関係なくE/e’は、12.6±5から9.6±3.2(P値<0.01)またE/Aは、0.7±0.3から0.6±0.2(P値<0.05)で改善を認めました。HbA1c、体重、収縮期血圧、BNPも改善しました。SGLT2阻害薬は、脱水、尿路感染などの報告もあり慎重投与が望ましいですが、高齢患者における心不全の抑制に寄与する可能性が示唆されました。今後は、観察期間を長くし体液量や副腎皮質ホルモンなど心機能に影響を与える様々なパラメーターとの関係を研究する必要があると考えます。
 
文責 高齢医学 准教授 東川 俊寛 
 


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