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【論文発表】臨床病理学 塩谷晃広助教の論文「Early-stage multi-differentiated gastric carcinosarcoma and post-resection local recurrence: a case report」がDiagnostic Pathology誌に受理されました。

 胃に発生する癌肉腫の頻度は、子宮などの他の臓器に発生する癌肉腫よりも稀
です。そのほとんどが進行した状態で発見されますが、今回の例は、粘膜下層ま
での浸潤に留まる早期に発見されました。また、比較的小型にもかかわらず、様
々な分化を示す、非常に稀な例でした。
 症例は68歳の男性、貧血や便潜血陽性があり精査したところ、胃に隆起性腫瘍
を認め、胃分節切除材料での検討の結果、癌の成分と肉腫の成分が混在して増殖
しており、癌肉腫と診断しました。癌の部分には通常の腺癌成分の他、神経内分
泌分化やAFP産生胃癌の成分が認められ、肉腫の部分には未分化な肉腫性成分に
加え、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫の成分が含まれていました。また、腫
瘍にはSALL4陽性の胚細胞様の細胞も認められました。
 本例は早期発見例にもかかわらず、胃分節切除から14ヵ月後に局所再発し、胃
全摘を余儀なくされています。また、胃癌肉腫とは別に、食道扁平上皮癌と原発
性肺腺扁平上皮癌も合併していました。
 早期に発見された胃癌肉腫に関しては、少数の症例報告があるのみで、現在ま
でに再発したという報告はありませんでしたが、本報告は早期症例であっても局
所再発する可能性を示しました。早期であっても切除後の局所再発や転移に関し
て、慎重な経過観察が望まれると思います。また、胃の癌肉腫の発生機序は未だ
不明ですが、本症例が比較的小さい腫瘍であるにもかかわらず、癌性成分と肉腫
性成分が様々な分化を示すことに加え、胚細胞様の細胞が見られたことからは、
現在ある仮説のうちでは、単一の細胞が発生起源となるという説が最も有力でな
いかと考察しました。

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