記事のみ印刷する

【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神科 准教授)らの論文"Polygenic risk scores for late smoking initiation associated with the risk of schizophrenia"がnpj Schizophrenia誌に掲載されました

 統合失調症患者は、喫煙開始年齢は遅いが、喫煙者が多く、喫煙本数も多く、禁煙率が低いといった特徴的な喫煙関連行動を呈することが知られている。欧米人においては、喫煙関連行動と統合失調症のリスク間に遺伝的な相関が示されている。
 本研究では、ポリジェニックリスクスコア(PRS:多遺伝子リスクスコア)解析を用いて、日本人統合失調症と欧米人喫煙関連行動間の民族差を超えた遺伝要因の共通性を検討した。欧米人における4つの喫煙関連行動[(i) 喫煙歴、(ii) 喫煙開始年齢、(iii) 喫煙本数、(iv) 禁煙歴]の大規模全ゲノム関連解析 (GWAS)データ (n=24,114–74,035)を、PRSを算出するためのDiscoveryサンプルとして利用した。また、これらのGWASに基づくPRSを、日本人332例(統合失調症患者、非罹患近親者、健常者)をTargetサンプルとして算出した。これらDiscoveryとTargetサンプルを用いて、欧米人喫煙関連行動に基づくPRSが、日本人の喫煙関連行動や統合失調症のリスクに及ぼす影響を検討した。
 4つの喫煙関連行動の中で、欧米人喫煙開始年齢と関連するPRSは、日本人喫煙者における喫煙開始年齢と、欧米人禁煙率と関連するPRSは、日本人喫煙者における禁煙率と関連していた。さらに、欧米人喫煙開始年齢と関連するPRSは、日本人統合失調症のリスクと関連していた。健常者よりも統合失調症患者は、欧米人喫煙開始年齢と関連するPRSが高く、非罹患近親者は患者と健常者の中間であった。本Targetサンプルにおいて、統合失調症患者は健常者と比べて、平均喫煙開始年齢や20歳以降の喫煙開始率が高いことを示した。統合失調症患者の60.6%が、発症以前に喫煙を開始していた。本研究結果は、喫煙開始年齢が遅いことに起因する遺伝要因が、統合失調症の病態においても寄与することを示唆している。また、統合失調症は喫煙開始年齢が遅いにも関わらず喫煙本数が多いことから、短期間に多くの喫煙をすることが統合失調症のリスクを高めている可能性を示唆している。

詳細はこちら
新着一覧へ