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【論文発表】清水 陽・大学院生(小児科学・犀川 太教授)と解剖学Ⅰ・八田稔久教授らの共同研究がJournal of Inflammation Research誌に掲載されました。

論文名
「Exposure to Maternal Immune Activation Causes Congenital Unfolded Protein Response Defects and Increases the Susceptibility to Postnatal Inflammatory Stimulation in Offspring」
 
 近年,DOHaD (Developmental Origins of health and Disease,疾患の胎児起源仮説) の概念が広く受け入れられるようになり,先天異常学が新たなパラダイムを迎えようとしている。本研究は,著者らが取り組んできた炎症性シグナルの胎児発生における生理的な働きに関する研究の病理学的な側面からのアプローチと位置付けられる。
 本研究では妊娠中期に母体免疫活性化(Maternal immune activation; MIA)を誘導し,出生後の炎症刺激に対する免疫応答と臓器への影響を検討した。MIA曝露仔では,出生後の炎症刺激によって,過剰な炎症性サイトカインの誘導(Interleukin(IL)-6,IL-17, Interferon-γ)と急性肝細胞壊死を認めた。炎症や感染曝露時の細胞の恒常性維持に必要不可欠である小胞体ストレス応答についても検討を行い,小胞体ストレス関連分子の発現低下が生じていることを明らかにした。刺激に対する適切な小胞体ストレス応答は,細胞の恒常性維持に有利に働くが,過剰あるいは不十分な小胞体ストレス応答は細胞の恒常性が維持できず,細胞死を惹起する事が報告されている。このことから,MIAにより出生後の炎症曝露時に小胞体ストレス応答が不十分となり,免疫の過剰反応と肝細胞壊死が惹起された可能性が高い。 
 本研究成果は,胎生期に重症ウイルス感染症などの過剰な免疫反応に暴露されることが,出生後の炎症性疾患のリスク因子形成に関与する可能性を示すものであり,これらの疾患の予防および治療法の解明の一助になることが期待される。


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