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【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神科 准教授)らの論文"Alterations in hippocampal subfield volumes among schizophrenia patients, their first-degree relatives and healthy subjects"がProgress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌に掲載されました

 統合失調症患者では、海馬の体積減少が特徴的である。これまでに、統合失調症患者の非罹患第1度近親者と健常者間で海馬の体積変化を検討した研究はいくつかあるが、それら研究結果は一致したものではなかった。さらに、非罹患第1度近親者に特徴的な海馬サブフィールド体積変化があるかどうかは、よく分かっていなかった。
 本研究では、3T 頭部T1強調MRI画像を撮像した被検者347例 (統合失調症患者、非罹患近親者、健常者)において、T1強調画像をFreeSurfer v6.0を用いて処理し、12領域の海馬サブフィールド体積を得た。そして、統合失調症患者、非罹患近親者、健常者間における12領域の海馬サブフィールド体積の差異を検討した。
 統合失調症患者では、非罹患近親者や健常者と比較して、左右海馬の総体積の低下を認めた。一方、非罹患近親者と健常者間においては、海馬の総体積の差異を認めなかった。12個の海馬サブフィールド領域の中では、CA1、海馬溝、前海馬台、歯状回分子層、海馬采、海馬-扁桃体移行領域において3群間の体積の差異を認めた。これらの差異は、主に、統合失調症と非罹患近親者あるいは健常者間における海馬サブフィールド体積の違いに起因するものであった。しかし、右側の海馬溝のみ、健常者、非罹患近親者、統合失調症患者の順に体積の拡大を認めたが、他の海馬サブフィールドでは、非罹患近親者と健常者間において体積の差異を認めなかった。また、統合失調症において、各海馬サブフィールド体積は、罹病期間、精神症状、抗精神病薬服用量などと有意な相関を認めず、臨床指標の海馬サブフィールド体積への影響は最小限であることが分かった。
 本研究結果より、統合失調症における海馬溝以外の海馬サブフィールド体積変化は、発症時に起こり、抗精神病薬の内服量などによってもほとんど影響を受けない安定した変化である可能性を示唆している。

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