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【論文発表】渡部 明日香・大学院生(再生医療学:下平 滋隆 教授)と加藤 友久・総合医学研究所 講師らの研究が Genes to Cells 誌に掲載されました。

論文名
 “Identification of CD56dim subpopulation marked with high expression of GZMB/PRF1/PI‐9 in CD56+ interferon‐α‐induced dendritic cells”

 樹状細胞は、われわれを取り巻く種々の病原体、あるいは環境に数多く存在する花粉、ハウスダストといった物質といった様々な『異物』からからだを守る仕組みである免疫を担う細胞の一種です。樹状細胞の異物を取り込み、抗原として他の免疫系の細胞に伝える(抗原提示する)働きは、細胞性ワクチンとしてがんや感染症に医療応用できることが期待され、実際、臨床研究などを通してその実用化が試みられてきました。
 本研究では、先行研究で確立してきたインターフェロン-α 誘導性の樹状細胞の製造法に関して、出発材料の調整法ならびに製造過程での培養器への接着の影響を検討しました。その結果として、CD56 という表面マーカーの発現が変化することを見出しました。CD56 の発現は細胞障害活性と相関することが知られていたので、抗 CD56 抗体を用いて CD56 陽性細胞を濃縮したところ、予想に反し、CD56 抗体で回収した画分ではなく抗体非結合画分に強い細胞障害活性がみられました。抗体非結合画分の強い細胞障害活性の分子基盤を明らかにするため、細胞死実行因子であるグランザイムに着目しその発現を調べたところ、グランザイム B (GrB)とその機能的共役因子であるパーフォリン(PFN)およびセルピン B9 の発現が抗体非結合画分で高く発現していることを見出しました。また、抗体非結合画分にも弱いながら CD56 の発現がみられる細胞が存在することから FACS でさらにこの細胞集団を分取し、GrB、PFN およびセルピン B9 の発現を調べたところ、何れの発現も CD56 強陽性画分の細胞より高いことを見出しました。今回見出した CD56 抗体非結合画分の CD56 弱陽性細胞を CD56dim 樹状細胞と名付け、それに対して CD56 抗体結合画分の CD56 強陽性細胞を CD56bright 樹状細胞と名付けました。
 本研究によって、これまでは CD56 陽性として一括りにされてきた細胞障害活性を有する樹状細胞を CD56dim と CD56bright に分け、CD56dim に GrB/PFN 経路によって引き起こされる強い細胞障害活性がみられることが明らかになりました。今後、CD56dim と CD56bright を樹状細胞ワクチンの規格の一つとすることによって、より機能性の高い細胞性ワクチンを製造することが可能となることが期待されます。

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