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【論文発表】伊達一平・大学院生 (再生医療学:下平滋隆教授)の研究がVaccines (Basel)誌に掲載されました。

論文名
 “Interferon-α-Induced Dendritic Cells Generated with Human Platelet Lysate Exhibit Elevated Antigen Presenting Ability to Cytotoxic T Lymphocytes.”
 
 背景: 樹状細胞(DC)は、自然免疫及び獲得免疫において中心的な役割を担っており、当講座では、インターフェロン(IFN)-α誘導性DC(IFN-DC)を用いた抗原提示細胞ワクチンの最適化をテーマとしてきた。ヒト血小板由来抽出物(HPL)にはサイトカインなどの様々な物質が豊富に含まれており、IFN-DC培養時にHPLを添加することにより、IFN-DCの持つ表現型および機能にどのような影響を与えるのかを検討した。
 対象と方法: 無血清培地に含有割合が5%HPL添加群(HPL-IFN-DC)とHPL非添加を対照群として、末梢血単球を用いてIFN-αおよびGM-CSFを添加してIFN-DCを分化誘導し、溶連菌抽出物製剤であるOK-432、PGE2、腫瘍抗原ペプチド(WT1またはMART-1)用いて成熟IFN-DCを作製した。回収したDCの生細胞率・収率、リンパ球混入率および表面抗原発現の比較を行った。MART-1ペプチドを用いた抗原特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導試験をテトラマー法におよびELISpot解析により機能分析した。また、FITC標識デキストランまたはDQオボアルブミン用いて、抗原貪食活性およびタンパク質分解活性を測定した。さらに回収したDCから無刺激下で産生されるサイトカインを測定した。
 結果: HPL-IFN-DCはCD14・CD56・CCR7の高い発現という特徴的な表現型を示し、より高い生存率、収率および純度を示した。特筆すべきはCD40、CD80およびCD83の発現レベルが低いにもかかわらず、HPL-IFN-DCは高レベルのIFN-γを分泌する抗原特異的CTLを極めて高いレベルで誘導したことである。加えてHPL-IFN-DCでは高い抗原貪食とタンパク質分解活性が観察された。
 結論: ex vivoで生成されたHPL-IFN-DCは高い抗原取込・処理・提示能力を持つ、新しいタイプの単球由来DCであることが示唆された。今後はHPL-IFN-DCの遺伝子発現レベルを解析し、単球の分化系譜を明らかにするとともに、高品質のHPL-IFN-DCを担体として、ネオアンチゲンを標的としたがんワクチンの実用化を目指している。

Vaccines (Basel). 2020 Dec 24;9(1):E10. doi: 10.3390/vaccines9010010.
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