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【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神科 准教授)らの論文"Intelligence Decline across Major Depressive Disorder, Bipolar Disorder and Schizophrenia"がCNS Spectrums誌に掲載されました

 うつ病、双極性障害、統合失調症は、知的機能の障害を認める。知的機能障害は、不良な機能的転帰の予測因子となり得るとことが示されている。しかし、これまで、各疾患間における知的機能低下(病前推定IQから現在のIQへの低下)の程度や、知的機能低下に影響を及ぼす臨床の要因はよく知られていなかった。
 本研究では、うつ病患者45例、双極性障害患者30例、統合失調症患者139例および健常者135例において、病前推定IQ、現在のIQおよび知的機能低下の程度の比較検討を行った。さらに、各疾患において、知的機能低下に影響を及ぼす臨床的な要因の検討を行った。
 うつ病、双極性障害、統合失調症、健常者間で病前推定IQ、現在のIQおよび知的機能低下の程度に群間の差異を認めた。健常者と比較して、どの疾患群においても病前推定IQと現在のIQの低下や、より強い知的機能の低下を認めた。疾患間の比較では、統合失調症患者は、うつ病や双極性障害患者と比較して、病前推定IQと現在のIQの低下およびより強い知的機能の低下を認めたが、うつ病と双極性障害患者間では、それらの知的機能の差異を認めなかった。双極性障害を、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害に分けた場合、知的機能低下の程度は、双極Ⅰ型障害は統合失調症と、双極Ⅱ型障害はうつ病と類似していた。統合失調症と双極性障害患者では、教育年数の低さが知的機能低下の強さと相関していたが、うつ病患者はそのような相関を認めなかった。
 本研究結果より、うつ病、双極性障害、統合失調症全ての精神疾患で知的機能の低下を認めるが、疾患間で知的機能低下の程度に差異があることを明らかにした (統合失調症、双極Ⅰ型障害>双極Ⅱ型障害、うつ病>健常者)。また、双極性障害と統合失調症患者において、教育年数の高さは認知的予備力として、知的機能低下に対して保護的に働くかもしれないことを示唆している。

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