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【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神科 准教授)らの論文"Polygenic risk scores for major psychiatric and neurodevelopmental disorders contribute to sleep disturbance in childhood: Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study"がTranslational Psychiatry誌に掲載されました

 睡眠障害は、精神疾患や神経発達症において共通する症状であり、特に小児期において、精神症状に先行して出現する。しかし、これまでに精神疾患や神経発達症に関わる遺伝因子が同定されつつあるが、各疾患に関わる遺伝要因が小児期の睡眠障害に及ぼす影響はいまだ解明されていなかった。
 本研究では、慶應義塾大学 精神・神経科学教室中島振一郎助教らとポリジェニックリスクスコア解析を用いて、精神疾患や神経発達症に関わる遺伝因子が幼少期の睡眠障害と関連するかを検討した。ポリジェニックリスクスコアを算出するために、自閉スペクトラム症、統合失調症、注意欠如多動症、うつ病、双極性障害といった5つの疾患の大規模全ゲノム関連解析 (GWAS)データと、さらに追加で不安症の大規模GWASデータを用いた (n = 46,350-500,199)。米国のAdolescent Brain Cognitive Development (ABCD)研究より9歳から10歳の小児から (n = 9683)、各疾患に起因するポリジェニックリスクスコアを算出した。Sleep Disturbance Scale for Children (SDSC)という質問紙を用いて、小児期の睡眠障害の程度を評価した。9歳から10歳の小児において、各疾患に起因するポリジェニックリスクスコアが、SDSCの総スコアや6つのサブスコアに及ぼす影響を検討した。
 5つの疾患に起因するポリジェニックリスクスコアの中で、注意欠如多動症とうつ病に起因するポリジェニックリスクスコアは、小児期の睡眠障害と関連していた。SDSCの6つのサブスコアのうち、注意欠如多動症に起因するポリジェニックリスクスコアは、入眠・睡眠維持障害と過眠症の2つと関連していた。うつ病に起因するポリジェニックリスクスコアは、主に入眠・睡眠維持障害、続いて過眠症や睡眠時多汗症と関連していた。不安症はうつ病と遺伝的共通性が強いにも関わらず、不安症に起因するポリジェニックリスクスコアは、うつ病とは異なり、覚醒障害・悪夢と関連していた。
 本研究結果は、注意欠如多動症、うつ病、不安症など特定の疾患に罹患しやすい遺伝素因を保有していると、小児期に特定の睡眠の問題を来たし易い可能性を示唆している。

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