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【論文発表】総合内科 大井一高非常勤講師(岐阜大学精神科 准教授)らの論文"Polygenic risk scores differentiating schizophrenia from bipolar disorder are associated with premorbid intelligence in schizophrenia patients and healthy subjects"がInternational Journal of Neuropsychopharmacology誌に掲載

 統合失調症と双極性障害は、疾患間における臨床的および遺伝的な類似性を認めるにも関わらず、知的機能の障害は双極性障害患者よりも統合失調症患者で顕著である。これまでに、統合失調症から双極性障害を鑑別可能な遺伝因子(統合失調症に特異的な遺伝因子)が同定されている。我々は、これまでに、その統合失調症に特異的な遺伝因子に起因するポリジェニックリスクスコアが、健常者よりも統合失調症患者で高いことを示している。しかし、その統合失調症に特異的な遺伝因子が知的機能に及ぼす影響はよく分かっていなかった。
 本研究では、統合失調症患者と健常者において統合失調症に特異的な遺伝因子が知的機能障害と関連しているかを検討した。ポリジェニックリスクスコアを算出するために、統合失調症と双極性障害の比較、小児期の知的機能および成人期の知的機能の大規模全ゲノム関連解析 (GWAS)データ (n=12,441-282,014)を用いた。これらGWASに起因するポリジェニックリスクスコアを130例の統合失調症患者と146例の健常者において算出した。病前推定IQ、現在のIQおよび知的機能低下の程度を、統合失調症患者と健常者において測定した。さらに、ポリジェニックリスクスコアと知的機能の相関を検討した。
 統合失調症に特異的な遺伝因子に起因するポリジェニックリスクスコアが高いと、統合失調症患者と健常者共に、病前推定IQが低かった。統合失調症に特異的な遺伝因子に起因するポリジェニックリスクスコアは、現在のIQや知的機能低下の程度とは有意に相関していなかった。一方で、小児期のIQに起因するポリジェニックスコアは、健常者に比べて統合失調症患者で低かったが、小児期のIQに起因するポリジェニックスコアは病前推定IQ、現在のIQ、知的機能低下の程度や統合失調症に特異的な遺伝因子に起因するポリジェニックリスクスコアとは有意に相関していなかった。
 本研究結果より、統合失調症から双極性障害を鑑別可能な遺伝因子は、統合失調症の病態だけでなく、病前IQの低さを介して統合失調症と双極性障害間の病態の違いに寄与している可能性を示唆している。また、小児期のIQに関わる遺伝因子は、成人期以降のIQの程度には関係なく、統合失調症の病態に関与している可能性を示唆している。

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