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【論文発表】解剖学Ⅰ大学院生・新谷明里先生の学位論文「"Melanocortin 5 receptor contributes to sensitivity to UV-B waves and barrier function in mouse epidermis」がJID Innovations誌に掲載されました。

 メラノコルチンはHPA-axis (hypothalamic-pituitary-adrenal-axis) 、細胞分裂の誘導、分化促進、細胞死の抑制など多様な作用を示す。皮膚にはメラノコルチン1, 2, 5受容体 (melanocortin 1, 2, 5 receptors: MC1, 2, 5R) があり、MC1および2Rはこれまでに多くの研究がなされているが、MC5Rの皮膚における機能は不明であった。
 本研究では、皮膚の紫外線B波 (ultraviolet B: UVB) 防護におけるMC5Rの役割を明らかにすることを目的とした。MC5R欠損ホモ接合体 (MC5R-/-) マウスの皮膚バリア機能は低下しており、内灘町の駐車場で15-20分程度の日光浴で浴びるUVB照射量 (150 mJ/cm2) でもMC5R-/-マウスでは皮膚潰瘍を生じることを見いだした。血清サイトカインの解析により、紫外線照射後のMC5R-/-マウスでは、炎症性サイトカインであるIL-6の亢進、抑制性サイトカインであるIL-10の低下が明らかとなり、炎症に対する抑制機構の障害が背景にあることが示唆された。さらに、電子顕微鏡解析により、MC5R-/-マウスでは、トランスゴルジ・ネットワーク(TGN)から分離した層板顆粒の減少とTGNの拡張が認められ、一方で、マージナルゾーンと細胞間における脂質貯留は減少していることが明らかとなった。これらの結果は、MC5R-/-マウスの表皮では脂質の分泌機能が低下していることを示しており、脂質分泌機能の障害がMC5Rの表皮バリア機能の低下に関与していると考えられた。
 表皮におけるMCRの役割として、これまで知られていたMC1Rを介したメラニン色素誘導による紫外線防御機構、MC2Rを介したグルココルチコイド分泌による抗炎症機構に加えて、新たに、MC5Rが紫外線感受性および皮膚バリア形成に関与することが明らかになった。
 
 JID InnovationsはJournal of Investigative Dermatologyの姉妹誌として、2020年10月に創刊されたGold Open Journalであり、図表はもとより語数制限も撤廃したユニークな編集スタイルが特徴です。

詳細は以下を参照
 https://www.jidinnovations.org/
 DOI:https://doi.org/10.1016/j.xjidi.2021.100024

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