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【論文発表】皮膚科学・臨床病理学大学院生 山口 礼門先生の論文「Peroxiredoxin 4 improved aging-related delayed wound healing in mice 」がThe Journal of Investigative Dermatology誌に掲載されました。

ペルオキシレドキシン4(PRDX4)は生体内に広く発現する分泌型の抗酸化酵素であり、細胞内外の領域において酸化ストレスを排除し組織傷害を防いでいる。これまでに我々は、PRDX4が生活習慣病(動脈硬化や糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎など)を抑制し、種々の癌細胞の増殖や遊走、アポトーシスに重要な役割を果たすことを報告してきた。加齢による創傷治癒遅延の一因には、生体内の酸化ストレスの過剰蓄積が考えられている。PRDX4は皮膚にも存在し創傷部で発現が増強することが知られているが、その役割は解明されていない。本研究では若年マウス(4週齢)、成熟マウス(12週齢)、高齢マウス(52週齢)の3世代の創傷治癒マウスモデルを用いて、PRDX4が加齢による創傷治癒遅延を改善する分子メカニズムを調査した。各年齢の野生型マウス(WT)とhPRDX4トランスジェニックマウス(Tg)の創傷治癒を比較したところ、若年マウスでは有意差は見られなかったが、成熟Tgマウスは有意に創傷治癒が促進された。さらに驚くべきことに高齢Tgでは劇的に創傷治癒が促進した。成熟および高齢Tgの肉芽組織では酸化ストレスや好中球浸潤、炎症性サイトカインが抑制され、線維芽細胞の増殖能・遊走能や血管新生、成長因子の発現が増強された。また、PRDX4ノックアウトマウスは創傷治癒が極端に遅延し、創傷作成後に約30%の個体が死亡した。in vitroでは、Tgの皮膚線維芽細胞は増殖能・遊走能が有意に高く、酸化ストレス負荷(H2O2)による機能障害やアポトーシスに対して抵抗性を示した。我々の研究結果は、PRDX4が創傷治癒に不可欠な酵素であり、特に高齢者の創傷治癒遅延の改善に重要な役割を果たす可能性があることを示唆している。

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