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【論文発表】整形外科学 兼氏歩教授の論文「新しい低侵襲寛骨臼骨切り術-3次元テンプレートによる個別術前計画による骨切り-」がTHE JOURNAL OF BONE AND JOINT SURGERYに掲載されました。

 寛骨臼形成不全症(AD)は変形性股関節症(OA)に進行する危険因子である。若年者で関節軟骨が温存されているAD患者さん,もしくは早期のOA患者さんに対しては股関節周囲の自分の骨を切り、関節適合性や寛骨臼の形成不全を改善する骨切り手術が行われてきた。しかし従来日本で多く行われてきた手術方法は侵襲が大きく、入院やリハビリに長期間を要した。何よりこの疾患は女性が多いが、手術創が30cmほどになるため美容的にも大きな問題があった。一方、別の手術方法で、海外では一般的である低侵襲骨切りは骨癒合不全などの合併症が多かった。
 今回報告した手術は従来の骨切り術のよい点を組み合わせた手術である。手術創を7cmと小さくしただけでなく、リハビリ期間も短縮でき、また骨癒合も3ヶ月以内に100%達成できる新しい寛骨臼骨切り術である。これは患者さんのCTを基に3次元テンプレートで個々の骨盤に合わせたオーダーメイドの設計図を作成するために可能になった。
  本手術のための設計図作成方法や手術手技、そして2年の短期成績を報告した。55関節において骨癒合不全は1例もなく、病期進行もほとんどなかった。大腿外側皮神経障害が従来の手術同様多く見られたが、2年で90%以上の症例に問題にならない程度まで回復を認めた。20%の症例で早期に移動骨片がわずかに移動したが、大きな問題にはならなかった。
以上、合併症も少なく、早期回復と良好な骨癒合を得られる本手術は患者さんの大きな福音となると考えられる。また、従来の手術では術者の経験による手技のばらつきや致命的な血管損傷のリスクがあったが、この手術は設計図を基に透視下に行う手術であるため術者にとっても安心と安全確認が行いやすいと考えられる。この手術の報告は世界初であり、今後日本だけでなく世界的な標準手術になることが期待できる。
 
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