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【論文発表】解剖学Ⅰ・王賀 協力研究員(中国医科大学)らの論文:Leukemia inhibitory factor induces proopiomelanocortin via CRH/CRHR pathway in mouse trophoblastがFrontiers in Cell and Developmental Biology誌に掲載されました。

 我々はこれまでに、母体由来の白血病抑制因子(LIF)-胎盤由来副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)-胎児有核赤血球由来LIFからなるサイトカイン・内分泌ネットワーク(母胎間LIFシグナルリレー)が、胎児大脳皮質発生において促進的に作用することを、ラットおよびマウス実験系を用いて明らかにしてきた。しかし、LIFによる胎盤ACTHの誘導メカニズムの詳細は不明であった。
 本研究では、胎盤栄養膜細胞におけるLIFのACTH誘導作用が、CRHを介しているか否かを検証した。マウス胎盤におけるLIFとCRHレベルは、妊娠13.5日にピークに達することから、妊娠13.5日目の母獣にLIF(5μg/kg体重)を腹腔内注射した後に、胎盤におけるCRHのmRNAおよびタンパクレベルを計測したところ、いずれも亢進していた。マウス栄養膜幹細胞培養系を用いて調べた結果、Pomc mRNAの発現は、LIFにより誘導されたCRHが、autocrine/paracrine的にCRH受容体1(CRHR1)を介して誘導されることが明らかとなった。一方、ACTHペプチドの分泌は、LIF受容体(LIFR/gp130)下流の主要経路であるJAK/STAT3経路を介して、直に誘導されることが示された。本研究により、LIFによる胎盤ACTH分泌誘導には、CRH/CRHR1経路を介して胎盤Pomc mRNAの発現を亢進させる経路(遅い経路)と、JAK/STAT3経路を介して、直接ACTHペプチドの分泌を促す経路(早い経路)が存在することが明らかとなった。この結果は、母獣にLIFを投与した後に観察される、胎児血清ACTH濃度の二峰性の上昇を説明するメカニズムであると考えられる。
 本研究は、王賀協力研究員が本学での学位研究(解剖学Ⅰ:八田教授)で取り組んだ、LIFによる胎盤CRHの分泌誘導機構に関する研究を発展させたものである。

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