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【論文発表】一般・消化器外科学 大学院生/藤井頼孝 先生と総合医学研究所/谷口真 講師の論文"A novel mechanism of thrombocytopenia by PS exposure through TMEM16F in sphingomyelin synthase 1 deficiency"がBlood Advances誌に掲載されました。

 スフィンゴ脂質であるスフィンゴミエリン(SM)は、細胞膜の主要構成脂質として脂質マイクロドメインを形成している。細胞膜SMは、セラミドとホスファチジルコリンからSM合成酵素(SMS)によって合成され、SMS1とSMS2の2種類のアイソフォームが存在する。これまで我々の研究グループでは、SMSが合成する細胞膜SMが、増殖、遊走、炎症など様々なリガンド-受容体応答の足場として働くことを細胞レベル、また遺伝子欠損マウスを用いた生体レベルで明らかにしてきた。本論文では、SMS1欠損マウスにおいて、血小板数が減少し脾腫を呈する「血小板減少症」の表現型が見られたため、その原因とメカニズム解明を行った。SMS1欠損マウスの血小板では、細胞膜SM減少に伴い、細胞膜リン脂質であるホスファチジルセリン(PS)の外葉への露呈が亢進していることが明らかとなった。PS露呈はアポトーシス細胞でも促進することで、マクロファージなどによる貪食に繋がるEat-meシグナルであるが、寿命を迎えた血小板膜においてもPS露呈が増加し、脾臓でのマクロファージによる貪食を誘導する血小板クリアランスの指標でもあり、SMS1欠損血小板のPS露呈亢進が血小板クリアランスを促進して、血小板減少へと繋がることが見いだされた。また、PSの外葉への露呈は、スクランブラーゼによって制御されており、特に血小板特異的、スコット症候群の原因遺伝子でもあるカルシウム依存性スクランブラーゼTMEM16Fタンパク質が、細胞膜SMの減少によって脂質マイクロドメイン内で高分子化し、カルシウム流入とPS露呈を促進していることを明らかにした。本研究結果は、SMS1が制御する細胞膜SMが、TMEM16Fを介してPS露呈を制御し、細胞膜SM減少がPS露呈促進による血小板クリアランス亢進を引き起こす「血小板減少症」の新たな原因となり得ることを示唆している。
 
 本研究成果は、アメリカ血液学会誌「Blood」のオンライン姉妹誌である「Blood Advances」に掲載されました。

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