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【論文発表】消化器内視鏡学 助教 小豆澤定史先生 及び 臨床病理学 大学院生 鄭 剣波先生の共同研究論文「The differential expression of perilipin-2 in hepatoblastoma and its association with the prognosis」がHistology and Histopathology誌に掲載されました。

 肝芽腫(Hepatoblastoma, HB)は、肝前駆細胞が正常に分化しないことによって発症すると考えられる、小児腫瘍性肝疾患の一つである。年間発生率が1/1,000,000と稀ではあるが、発生率は年々増加傾向にある。組織学的には、胎児性、胎芽性、未分化小細胞性、間葉性の4つの組織型で構成されており、各々の形態学、分化度、代謝等の特徴に違いを有していると言われている。

 がんの脂質代謝変化が注目されている背景も相まって、脂質滴のコーティング蛋白質であるPerilipin-2/ADRP(Adipose differentiation-related protein) が悪性腫瘍の進展に関与している可能性が大いに言及されている。乳癌、肺腺癌、明細胞腎細胞癌等の進行にPerilipin-2が強く関わっているとの報告がある一方で、HBにおけるその役割に関しては未だ判然としない。Perilipinが肝組織において高発現していることが知られていることもあり、HBを含めた肝腫瘍においても同様の仮説が立てられる。しかも、我々のグループにおける先行研究において、脂質代謝の一部を制御し得る抗酸化ストレス因子の一つ、ペルオキシレドキシン4(PRDX-4)がHBの進展に密接に関わっていることをつい最近報告している。本研究では、HBにおけるPerilipin-2の発現パターンと臨床病理学的特徴、特に生命予後との有意な関係性について検討した。

 本研究では、胎児性及び胎芽性のHBにおいて、Perilipin-2の発現パターンが明らかに異なることが判明した。この発現の違いからHBの病理組織学的診断分類の有用なマーカーに成り得ると考えられる。また多変量解析の結果、Perilipin-2の強発現が予後改善に有意に寄与していることから、小胞状のPerilipin-2染色強発現パターンを呈する胎児性HBと診断された場合、(元来、予後良好であることも多いため)患者に積極的な術後補助抗がん剤治療は施行せず、経過観察にとどめておくことも一選択肢になるのではないかと期待される。総括するに、HBではPerilipin-2が組織型に応じたユニークなパターンで発現し、Perilipin-2強発現はHB予後の独立した改善因子の一つとなり得るかもしれない、と結論づけたい。

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