次世代北信がんプロ
事業の概要
北信のシームレスながん医療を担う人材養成(次世代北信がんプロ)について
長野、富山、石川、福井の4県(以下、「北信地域」とします。)は、超少子高齢化に加え診断から治療・終末期医療まで全医療を居住地域で受けるがん患者が多い特徴があります。本事業(次世代北信がんプロ)は、診断から治療・終末期医療まで質の高い医療を地域でシームレスに行う多施設・多職種連携医療人材を養成します。
連携6大学が強みを合わせた相互補完的教育コース(正規課程15、インテンシブ10)を新設し、切れ目ないがん医療提供に必要な専門分野以外のがん医療分野の最新情報も学修したがん予防、病理診断、放射線・核医学治療、在宅緩和ケア等を担う人材、3期事業で必要性が示された小児・AYA世代がん経験者を支援する遺伝カウンセラーや腫瘍臨床心理士、新規免疫療法開発や個別化医療に必要なゲノム創薬・副作用対策を担う人材を養成します。また、オンライン教育や演習・講演会で多職種地域内連携を推進し、将来さらに少子高齢化が進む日本の地域がん医療の人材養成モデルの確立を目指します。
特徴1
次世代北信がんプロが目指す3つの人材養成
- 専門領域以外のがん医療分野の最新情報も学んだ医療従事者:
放射線治療や病理診断、腫瘍循環器・腎臓病学、老年腫瘍学に習熟した人材の養成 - 次世代型のがん予防を担う人材:
北信がんデータベース事業で必要性が示されたAYA世代がん患者のケア、高齢者のがん予防等を担う医師、遺伝カウンセラー、サイコオンコロジスト等の養成 - 新たな治療法を開発できる人材:
最適の個別化医療を開発する能力を有する基礎・臨床研究医の養成
特徴2
北信地域における多様な新ニーズに対応できる知識を相互補完的に修得
連携6大学の強みを生かした相互補完的教育プログラムを25コース新設(正規課程15コース、インテンシブ10コース)し、大学の枠を超えて履修できる共通選択科目を導入します。
特徴3
北信地域での遠隔教育システム構築・活用
WEB会議システムを活用した従来の北信がんプロオンコロジーセミナーを充実・発展させた、北信地域での遠隔教育システムの構築・活用に取組みます。6大学やがん診療連携拠点病院の専攻生や教員、医療スタッフ等の多職種が一堂に会する次世代北信オンコロジーセミナー(病態や治療中心)や多職種協同緩和ケアセミナー(患者ケア・支援中心)を定期開催します。これにより北信地域全体の多職種が、がん医療現場の課題、がん予防推進、新規治療法開発等を効率的に学習することができます。
また、がんプロオンライン教育プラットホームに参画し、特色ある教材を提供します。
特徴4
障がい者がん症例、妊孕性保存症例など特色ある症例を対象とした
独自の次世代北信地域がんデータベースを構築
3期事業において、北信地域のがん診療連携拠点病院の院内がん登録データから北信地域がんデータベースを構築し、地域のがん医療の特徴を明らかにするデータ解析を行い、成果を英語論文化する研究・教育を行ってきた実績があり、今期も対象となる医療機関を追加し、解析研究活動を継続します。特色ある症例を対象としたがんデータベースによる臨床研究成果の国内・国際学会発表や英語論文発表を推進することで、履修生や教育スタッフの意欲を高め、本事業の求心力を保ち、データベースの情報や論文等の成果を次世代北信がんプロの教育コースへも還元します。また、研究成果を継続的に社会に発信・還元することで、将来のがん対策の一環として地域住民へ「がん教育(がんの理解)・予防・検診受診・早期発見・早期治療・早期社会復帰」に対する啓蒙を行います。
特徴5
人材交流を目的としたセミナーやシンポジウムを開催
他のがんプロチームとは合同シンポジウムを開催し、連携を深め本事業の普及を図る他、他の文科省人材養成プログラムとも合同シンポジウム等で交流し相互の事業内容の改善を図ります。
特徴6
市民啓発、教育を目的とした取り組み
6大学合同市民公開講座開催で予防・検診受診による早期発見・早期治療・早期社会復帰の概念を市民に啓蒙・普及させます。北信地域の患者会とは運営協議会や市民公開講座を通じて患者の意見を広く取り入れ、患者目線の医療立案に役立てます。
これらの活動により、診断から治療・終末期医療まで患者が必要とする医療を速やかに提供できる体制を確立し、がん患者と家族が居住地域で安心して医療を受けられる環境の整備と人材育成モデル確立することが北信がんプロの目的です。