学部・大学院・研究所

医学部

医学部の写真

教育に関する基本方針

ディプロマ・ポリシー:学位授与方針

金沢医科大学医学部医学科では、建学の精神である「1. 良医を育てる」「2. 知識と技術をきわめる」および「3. 社会に貢献する」を3つの柱として「病だけではなく、病を患う人をみる」医師を育成します。

学生は、卒業時に以下を身につけていることを、学士(医学)の学位授与の条件とします。

Ⅰ. 豊かな人間性と倫理観

  1. 医師としてのプロフェッショナリズムを自覚し、思いやりをもって責任のある医療を行える。
  2. 倫理的問題を理解し、医療人として最善の行動選択ができる。
  3. 個人間・性差・家族間・地域間・諸文化圏・国際社会における多様性を尊重できる。

Ⅱ. 生涯学習

  1. 自己主導型学習能力を身につけ、常に自己の向上を図れる。

Ⅲ. 医学知識と技術

  1. 医学・医療に活用できる幅広い知識を身につけている。
  2. 基本的診療手技を身につけ、診療できる。
  3. 最新の情報を、適切に収集・選択して活用できる。

Ⅳ. 患者中心・チーム医療とコミュニケーション能力

  1. 患者中心の安全な医療を実践できる。
  2. 利他的な態度で、患者を尊重した医療に取り組める。
  3. 患者に関わる身体的・精神的・社会的背景や問題を包括的に理解し、コミュニケーションに生かせる。
  4. 医療チームの役割を理解し、各チームメンバーを尊重し、コミュニケーションを図れる。
  5. プライマリ・ケアと専門医療の役割分担を理解し、適切に該当部門・機関と連携を図れる。

Ⅴ. 地域医療・社会貢献・国際貢献

  1. 地域医療に参画し、プライマリ・ヘルス・ケアを実践できる。
  2. 保健・医療・福祉に関わる社会資源を把握し、活用できる。
  3. 医療制度・医療経済に対して問題意識を持ち、考察できる。
  4. 医療の国際化に対応できる異文化理解・適応力、コミュニケーション力を持ち、プライマリ・ヘルス・ケアを実践できる。

Ⅵ. 科学的態度・探究心

  1. 科学的理論と方法論を理解できる。
  2. 科学的問題に興味を持ち、論理的・批判的に考え、調査や研究に取り組める。
  3. 調査や研究の成果を論理的文書として発信できる。

カリキュラム・ポリシー

医学の専門知識・技能のみでなく、幅広い教養に基づく感性豊かな人間性、さらに人間性への洞察力、倫理観、生命の尊厳についての深い認識をはじめ、ディプロマ・ポリシーを達成するための6年一貫統合型のカリキュラムを編成します。

Ⅰ. 豊かな人間性と倫理観の育成

「倫理に徹した人間性豊かな医療人」の育成のために、6年間を通して広い教養と倫理観を身につけるためのカリキュラムを編成します。一般教育科目では、医学生ならびに社会人としての基盤形成を行います。人間性育成科目群と医学教育準備科目群を通じて、学生が豊かな人間性と倫理観を備え、広い視野に立って自ら考え行動できる感性を培います。

さらに、「医療人」としてのプロフェッショナリズムを育てるために、「倫理を備えた医療人形成」の講義や演習、実習などを配置します。救急車同乗体験・多職種連携・看護実習、在宅訪問医療実習(模擬実習含)など様々な実習を導入します。学生は、地域住民や患者ならびにコメディカルスタッフなどとのコミュニケーションをとりながら医療チームの役割や医療現場の実際、関係機関との連携について学びます。

Ⅱ. 生涯学習の基盤形成

生涯学習が求められる医師あるいは研究者としての将来像を見据え、学生の創造的思考力の涵養および知的好奇心と自己開発への意欲の向上を図ります。一般教育科目を中心に、医療・医学の学修と研究に必要な英語力、情報の検索・収集・処理能力、文献執筆能力の習得と生涯学習の基礎作りを行います。さらに、自ら学習課題を設定し解決する自己主導型学習を身に付けるために、各学年に少人数制の能動学習(アクティブ・ラーニング)型の授業を組み入れます。第1~3学年においては基礎医学および臨床医学の先端研究に触れ、第4~6学年の臨床実習におけるEvidence-based Medicine(EBM)の修得につなげます。これらにより、生涯学習の基盤を確立します。

Ⅲ. 医学知識と技術の修得

基礎医学の専門教育科目を第1、2学年で学修します。「人体の正常構造と機能」を学ぶ科目(解剖学、組織学、発生学、生理学)と「生体の機能と反応」を学ぶ科目(生化学、免疫学、微生物学、病理学(病態病理)、薬理学(生体と薬物))を開講し、試験、実習や態度などを総合的に評価します。

第2学年以降で臨床医学の専門教育科目を学びます。「人体の生理的変化、病態、診断、治療」の科目として、内科学、外科学、小児科学、産科婦人科学や専門医学を臓器別ユニットで学修します。得られる知識を統合し病態の理解を深めるとともに、臨床推論の思考体系を修得するための能動学習を導入します。

診療参加型臨床実習入門では、学生は、臨床推論に重要な症候学を臨床系の教授によるMeet the Professorを中心に学び、基本的な臨床能力を模擬患者さんとの医療面接を含めたシミュレーション教育プログラムにより身に付け、診療参加型臨床実習(CCS)に備えます。

医学の基本的知識はコンピュータを用いた共用試験医学系客観的能力試験(CBT)で、さらに、臨床実習開始に必要な基本的な臨床能力は、共用試験医学系臨床実習前客観的臨床能力試験(Pre-CC OSCE)で評価します。

Ⅳ. 患者中心・チーム医療の実践力とコミュニケーション能力の育成

CBT、Pre-CC OSCE及び本学が定める試験に合格後、実際の医療現場で医療スタッフの一員として学ぶ診療参加型臨床実習(CCS)を主体に、医療の実践力を身につけます。第1学年で養った情報の検索・収集・処理能力を、臨床実習においてEvidence-based Clinical Practiceに応用できるようにするために、EBMの実践能力カリキュラムを組み入れます。さらに第6学年には、第1~5学年までに修得した基礎医学・臨床医学の知識を整理させるために、臨床および基礎講座がそれぞれの領域の重要な症候・疾患などを講義テーマとする集中講義を開講します。これによって正しい医学知識を習得するとともに、主訴から治療に至る思考過程を訓練し、問題解決能力・応用力に富んだ医師としての素地を培います。

第6学年で、共用試験医学系診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC OSCE)により、CCSで身につけた知識・技能レベルを確認し、卒後に初期臨床研修を行えることを担保します。

Ⅴ. 地域医療・社会貢献・国際貢献力の養成

地域および国際社会で活躍する土台を作るために、低学年での医学英語により、総合的英語運用能力と医学・医療のための英語の習得とともに、異文化や多様性を認め、理解・尊重する態度の修得を目指します。在日外国人に対する医療現場を想定し、ネイティブ・スピーカーを模擬患者とする医療面接の実習を行います。

医学・医療と社会については、履修してきた臨床医学知識を踏まえた上で、疾病と人間を取り巻く種々の社会要因との関係を理解し、個人と社会の健康について学びます。在宅医療を学ぶために、地域の家庭を訪問して、問診・バイタルチェック・保健指導を行います。

金沢医科大学氷見市民病院での臨床実習では、地域医療の実践力を身につけるために、院内での実習の他に、地域医療学が主体となる在宅診療の実習を行います。

国際医療を含めた地域医療の実践力を養うため、国内外の医療機関での臨床実習の機会を設けます。

Ⅵ. 科学的態度・探究心の涵養

科学的思考力や判断力は、第1学年の「医学教育準備科目群」で基礎力を身につけ、第1、2学年の基礎医学、第2学年以降での臨床医学のなかで発展させます。その後、第3学年以降でのEvidence-based Clinical Practiceと進み、臨床実習の場でEBMを実践できる能力を涵養します。

医学生や医師は研究マインドと研究実践能力が求められます。第1~3学年では、根拠に基づいて考えることの助けとなるツールや技術、討論や調査を通じた問題解決能力、プレゼンテーション(口頭発表)技術、論文作成などを学修し、上級学年および卒後の医学研究の土台作りを行います。さらに、医学研究の重要性を理解し実践するための基礎的能力、分析的・批判的思考、科学的手法の原理、医学研究の手法などを学びます。

アドミッション・ポリシー

金沢医科大学医学部は「生命への畏敬-Reverentia Vitae」を基本理念とし、「倫理に徹した人間性豊かな良医の育成」を建学の精神に掲げ、豊かな知識や技術と思いやりの心とを兼ね備えた臨床医を社会へ送り出すことに努めています。

ディプロマ・ポリシーに掲げる良医の育成を目的に、総合型選抜(AO入試・卒業生子女入試)、学校推薦型選抜(指定校・指定地域)、一般選抜(前期・後期)を実施し、資質の高い多様な人材の確保を目指しています。また入学後の教育では、カリキュラム・ポリシーに基づき、人間性とコミュニケーション能力を高めるための体験実習、論理的・科学的思考能力を養うための少人数教育、主体性を確立するための自主学習を基本とした問題解決型の授業などを実施しています。

医学知識と医療技術を極め、医療をとおして社会に貢献したいという志をもち、医学の発展につながる医学研究にも意欲をもつ受験生を金沢医科大学は歓迎します。

求める学生像

  1. 医学を学ぶために必要な基礎学力と問題解決能力のある人
  2. 知的好奇心が旺盛で、学ぶことへの集中力、忍耐力、持続性を備えている人
  3. 周囲に対する協調性や思いやりの心をもち、あらゆる面で自己啓発を怠らない人
  4. 建学の精神を理解したうえで本学の伝統を継承し将来発展させる人

入学までに身に付けておくべきもの

  1. 文章の読解力と論述力
  2. 数学的、論理的に思考し表現する能力
  3. 理科の知識、科学的知識に基づいた思考力、判断力と探究心
  4. 英語の読解力・表現力と英語による基礎的なコミュニケーション能力
  5. 特別活動、課外活動等を通じた主体性、協調性、思いやり・奉仕の心