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研究活動

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2023/03/15 論文

整形外科 北島宏矩先生と総合医学研究所 共同利用センター 坂本卓弥助教らの原著論文である「Synovial Fluid Derived from Human Knee Osteoarthritis Increases the Viability of Human Adipose-Derived Stem Cells through Upregulation of FOSL1」がCells誌に掲載されました

変形性膝関節症(Knee osteoarthritis: Knee OA)は、膝関節を構成する骨の変形や関節軟骨に変性が生じ慢性的な疼痛と運動障害を引き起こす不可逆的な退行性の病態である。近年、 Knee OAに対する培養脂肪由来幹細胞(Adipose tissue-derived stem cell: ADSC)の関節腔内への投与によってOA症状の改善が多数報告されている。しかし、実臨床に即した治療計画により調整したADSCと実際の投与環境である滑液(Synovial fluid: SF)との影響について述べた報告はない。本研究は治療用に投与される状態である生理食水に懸濁されたADSCに対するヒトKnee OA由来のSFの影響をin vitroで評価した。その結果、生理食塩水懸濁したADSCSFを添加することで溶液中のADSCの生細胞率は有意に上昇した。生理食塩水に懸濁することは、細胞生存に不利な環境下であるにも関わらず、SFを混合するとADSCの生細胞率が上昇することが示された。DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果では、SF添加群において細胞増殖、遊走、生存に関連する遺伝子の発現が多く上昇していた。今回は、これらの発現上昇遺伝子の一つでADSCの治療効果を高める可能性が報告されているFOSL1に注目して検討を行った。ADSCにおいてsiRNAによるFOSL1のノックダウンを行ったところ、FOSL1ノックダウン群ではコントロール群と比較すると、生細胞率が有意に低下し、FOSL1ADSCにおいて生存に関与することが初めて示された。またSF中においてもFOSL1ノックダウン群では低い生細胞率を示した。したがって、関節腔内に投与されたADSCSFに曝露されることでFOSL1の発現が増加し、生細胞率上昇に寄与することが明らかとなった。培養ADSCを用いたKnee OA治療において、FOSL1の発現を上昇させることはADSCの関節腔内での生細胞率を上昇させ、治療効果の優れた細胞製剤の開発に繋がることが期待される。

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