2024/11/01
論文
総合医学研究所共同利用センター坂本 卓弥助教と神田 享勉教授らの論文「Investigating the Unexpected Effect of Bulkheads in a Dementia Model of Mice Through Molecular Analysis of the Hippocampus」がCureus誌に掲載されました
本研究では、COVID-19パンデミック中に使用されたアクリル板などの物理的バリアが、認知機能や行動にに与える影響をアルツハイマー病モデルであるアポリポプロテインE欠損(ApoE-/-)マウスを用いて評価した。マウスは共同飼育グループ、アクリル板で仕切られたグループ、孤立飼育グループに分けられ、33週間にわたって行動テストやRNAシーケンシングによる遺伝子解析を行った。アクリル板で仕切られたマウスは、共同飼育されたマウスと比較して、空間学習や認知機能が低下し、海馬CA1領域の神経細胞密度も低下していることが明らかになった。
また、遺伝子解析により、神経伝達物質輸送や神経ペプチドシグナル伝達に関わる遺伝子の発現が変化していることが明らかになった。これにより、長期的なアクリル板による物理的隔離や視覚的接触のみの環境下が、認知機能や海馬の構造に悪影響を及ぼし、神経伝達物質のバランスが崩れることで、認知機能低下に繋がる可能性が示唆される。今後、COVID-19のパンデミック対策としての感染予防措置が認知症患者に与える長期的影響を考慮し、新しい感染予防対策が必要である。
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