気管支喘息①診断




                                     呼吸器内科

1.気管支喘息はどんな病気?

気管支喘息(以下、喘息)とは、発作性に咳や「ぜーぜー」と気管支が鳴る喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの症状を繰り返し起こす病気です。その病態は、主にアレルギーなどを背景とした慢性的な気道炎症により、様々な吸入刺激(ハウスダスト、花粉、たばこ、気温の変化など)に対して気道が過敏になる結果、気管支の内腔が狭くなることで空気の流れ(気流)が制限されます。喘息の呼吸困難の特徴は、息を吐こうとするときに気管支がさらに狭くなり息を吐けないことで、こうした特徴をもつ呼吸障害を「閉塞性換気障害」といいます。

これらの変化は、可逆性、すなわち治療で元に戻るものとされていますが、炎症が持続し慢性化することで気道粘膜が厚くなり、元に戻りにくくなることがわかっています。こうした気道の不可逆性の構造変化を”リモデリング“と呼び、慢性的な空気の通過制限のために治療効果が不十分になりやすく、難治性また進行性の経過を辿ることがあります。つまり、気管支喘息の治療では気道の炎症をコントロールすることで、リモデリングの段階にまで進行させずに良い状態を維持していくこと、すなわち継続的な治療が非常に重要になります。

治療としては、気管支拡張薬で狭くなった気管支を広げることだけでは不十分で、基礎にある炎症を抑える「抗炎症療法」が最も大切です。たとえ症状がなくても気管支の炎症が水面下で続いていることが多く、抗炎症療法を続けることが難治化や進行を予防するうえで大変重要です。現在の治療では、抗炎症療法の中心となるのは吸入ステロイド薬です。吸入療法を正しく理解することで、安全にかつ効果的に治療を進めることができます。

また、近年では長引く咳のみを主症状とする「咳喘息」と呼ばれる病態も注目されており、一部の人は喘鳴発作を伴う典型的な喘息に移行すると考えられています。

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2.気管支喘息の原因

喘息は、アトピー型(別名アレルギー型)と非アトピー型に分類されます。アトピー型は何らかの原因物質(アレルゲン)に対して起こる喘息で、小児の90%、成人の50~70%が含まれます。アトピー型喘息の原因は、吸入アレルゲンが最も重要で、ハウスダスト、チリダニ、花粉、動物の毛(ネコ、イヌ、ウサギなど)などがあります。ほかにも、運動により起こる運動誘発性喘息や、アスピリンなどの解熱鎮痛剤によって引き起こされるアスピリン喘息などもあります。小児の喘息はアレルギーが原因であることがほとんどであるのに対し、大人の喘息は原因が明確に特定できない場合が多いとされています。

 

3.気管支喘息の検査と診断

喘息は、気道が過敏になり、発作性かつ可逆性の閉塞性換気障害(発作がないときには正常人とかわりないが、一旦発作をおこすと気管支が狭くなり吐き出しが制限される状態)を特徴としています。その診断は「気道可逆性」や「気道過敏性」の証明と、「アレルゲン検索」の2つに大きく分けられます。診断のためには、呼吸機能検査や呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)、胸部エックス線写真、血液検査などの検査を必要に応じて行う必要があります。

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  • 肺機能検査(気道可逆性試験):閉塞性換気障害の検出、気管支拡張薬吸入前後での呼気1秒量、1秒率(FEV1.0、FEV1.0%)改善の有無、ピークフロー、気道抵抗測定など 
  • 気道過敏性試験:気管支収縮物質吸入による気管支収縮反応誘発試験
  • 呼気一酸化窒素濃度(FeNO):気道炎症を反映する一酸化窒素濃度の測定 
  • 血液検査:アレルギー素因(総IgE)やアレルゲン(特異的IgE抗体)の検出
  • 胸部エックス線写真:その他の病気の除外など

 

以上のような検査を総合して喘息と診断します。気管支喘息の診断は、疑わしい症状・徴候と除外診断からなりたっています。発作性の呼吸困難や喘鳴は、喘息以外の様々な肺や心臓の病気で起きることがありますが、喘息による症状は特に夜間や明け方に起きやすいという特徴があり、症状が無症状の時期を挟んで繰り返すことも特徴的です。加えて、症状が様々な誘因(埃を吸い込む、風邪をひく、痛み止め飲む、運動をする、お酒を飲む、気候の変化、大笑いや大泣きするなど)により悪化することも、喘息を疑わせる有力な根拠となります。アレルギー性の喘息は比較的診断しやすいのですが、感染性の喘息や、咳喘息といわれるものはアレルゲンがはっきりしないことが殆どで、診断に時間がかかることもあります。

 

※ この続きは「気管支喘息②治療」をご覧ください。

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